ここまで5勝7敗と波に乗れていないアトランタ・ホークスだが、そのなかで今年のドラフト1位で入団したザカリー・リザシェイは、着実に才能の片鱗を発揮し始めている。
ニューヨーク・ニックスに121-115で競り勝った11月6日の試合では、今季のルーキーで初の30得点超えとなる33得点、7リバウンド、3アシスト、3スティール、2ブロックとオールラウンドな働きを披露。得意の3ポイントは10本中6本の成功とシュートタッチが冴えわたった。
ホークスにとってビッグプレーとなったのは残り2分を切り、108-110と2点を追っていた場面でリザシェイが決めた同点弾だった。
ゴールに向かっていたトレイ・ヤングは、ダブルチームでスペースを潰されると、すかさず中へのパスを選択。絶妙なタイミングで走り込んだリザシェイがボールを受け、ジャンプシュートをヒット。流れを引き寄せたホークスは、その勢いのまま勝利を手にした。
自ら点を取りに行くタイプのヤングなら、3ポイントを打ってもおかしくないシチュエーションだったが、試合後にこのプレーは普段から練習していたものだったことを明かしている。
「彼はルーキーだけど、ものすごく勘がいい。自分がどこに入ればいいのか、”おいしい場所”がどこかを理解できているんだ。あの場面も、サインを出したら狙い通りの場所に入ってくれたから、パスを出したのさ」
クラッチタイムでエースからパスを授けられることは、ルーキーにとって自信を積み上げる上でも重要な意味を持つ。
「自分のシュートに自信を持つ点において、彼(ヤング)は僕にとって非常に重要な存在なんだ。彼はコート内外で、僕が気持ちよくプレーできるようあらゆることをしてくれている」(リザシェイ)
その言葉通り、ヤングは積極的にドラ1ルーキーに声をかけているという。
「彼には自分の経験を伝えているんだ。僕も最初の数か月は苦戦した。だけど、シーズン後半戦には、新人王候補に名前が挙がるようになっていった。NBAのシーズンにはアップダウンは付きもの。それがルーキーイヤーならなおのことだからね」
デビュー戦となった開幕戦のブルックリン・ネッツ戦、リザシェイは19分の出場時間で7得点、フィールドゴール成功率は25%と1位指名選手としては物足りない結果に終わった。しかしヤングは前の試合のパフォーマンスやミスを引きずらず、目の前の試合のことだけに集中すれば、ニックス戦のような結果が日常的になってくるとアドバイスを送っている。
「とにかく彼には、常にポジティブな姿勢を保って、正しい道、正しい方向に進み続けてほしいと願っている。そうすることで、今日のような試合ができるようになるんだ。遅かれ早かれ、今日のような(30点超え)試合をすると思っていたよ。彼のプレーを見る限り、今後も続いていくと確信している」
今夏にデジャンテ・マレーが退団し、ボグダン・ボグダノビッチとディアンドレ・ハンターの主力2人も負傷中のホークスにとって、リザシェイの得点力はこの序盤戦の重要なピースでもある。
チームの絶対的支柱であるヤングに見守られながら、19歳のフォワードは順調にNBAに順応しつつあるようだ。
文●小川由紀子
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