現地時間11月10日(日本時間11日)、コロラド州デンバーのボール・アリーナで行われたダラス・マーベリックスとデンバー・ナゲッツの一戦は、昨季のウエスタン・カンファレンス覇者と一昨季のNBAチャンピオンによる注目の対決となった。
マブズにはスロベニア出身のルカ・ドンチッチ、ナゲッツにはセルビア出身のニコラ・ヨキッチというスーパースターが在籍。2人は仲が良く、互いをリスペクトしつつ、オールスターや試合前にはじゃれ合うなど気心の知れた関係で、ヨキッチはドンチッチについてこう評していた。
「彼は1人で何でもこなしてしまう兵士で、相手を破壊する。彼はゲームを正しい方法で操ることができる。マッチアップ相手が小柄ならポストアップし、大柄であれば抜き去る、ステップバックから致命的なダメージを与えることだってできる」
同点15度、リードチェンジ22度と大接戦となった試合は、120-120で迎えた第4クォーター残り6.1秒にマイケル・ポーターJr.が決勝ジャンパーを沈めてナゲッツが勝利。マブズはドンチッチが24得点、9リバウンド、9アシスト、相棒のカイリー・アービングがゲームハイの43得点に5リバウンド、5アシストと爆発したが、彼らの活躍が霞むほどヨキッチのスタッツは際立っていた。
この日38分1秒コートに立った万能センターは、フィールドゴール成功率61.9%(13/21)に3ポイント3本とフリースロー8本をノーミスで決め、37得点、18リバウンド、15アシストと圧巻の数字を叩き出した。
「彼の凄さとインパクトを表現するうえで、的確な言葉や形容詞、方法がなくなりつつある。私が思うに、シンプルに彼こそが世界最高の選手。個人的な意見ではあるけど、その言い方が一番の方法だ」とナゲッツのマイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)は舌を巻いた。
開幕2連敗と出遅れたナゲッツは、主力のジャマール・マレーやアーロン・ゴードンを欠きながら、3戦目以降の8試合で7勝1敗、現在は5連勝と波に乗っている。
今季のヨキッチは10試合で平均29.7点(リーグ4位)、13.7リバウンド(同1位)、11.7アシスト(同1位)の“平均トリプルダブル”に1.7スティール(同10位タイ)、1.0ブロック、フィールドゴール成功率56.3%、3ポイント成功率56.4%、フリースロー成功率84.3%とシーズン序盤から無双状態にある。
「今のようなプレーを続けられることを願っている。チームが僕へスポットライトが当たるように仕向けてくれている。チームのみんなに感謝しているんだ。でもそれは単に僕がその数字を稼いでいるんじゃない。そこには(自分を支えてれる)多くの人たちがいるからなんだ」(ヨキッチ)
獅子奮迅のパフォーマンスを披露している“ジョーカー”だが、MVPには過去4シーズンで3度選ばれており、受賞のハードルは高くなっている。それでも、現在のスタッツを残し続けることができれば、NBA史上6人目となる4度目の選出も決して不可能ではないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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