現地時間11月12日(日本時間13日、日付は以下同)、NBAは2024-25シーズンの開幕から約3週間が経過し、この日から「エミレーツNBAカップ」(旧インシーズン・トーナメント)が幕を開けた。
これは昨季初めて導入されたカップ戦。ウエスタン・カンファレンスとイースタン・カンファレンスに所属する各15チームがそれぞれ3つのグループ(計6つ)に分かれて総当たりのグループリーグをこなし、各グループの1位と、2位のうち最も成績が良かった1チームが一発勝負の決勝トーナメントに進出。準決勝と決勝はネバダ州ラスベガスにあるTモバイル・アリーナで行なわれ、優勝チームにはNBAカップと賞金が与えられる。
レギュラーシーズン中の日程に組まれているとはいえ、通常の1試合とは異なり、グループリーグではその勝敗とともに得失点差も決勝トーナメント進出に向けた重要な要素になる。
今季のグループリーグ初日の目玉は、ダラス・マーベリックスとゴールデンステイト・ウォリアーズの一戦だ。
昨季まで13年間(実働11年)ウォリアーズに在籍したクレイ・トンプソンは、ステフィン・カリー、ドレイモンド・グリーンの“ビッグ3”体制で4度の優勝を飾り、トリオとしてNBA歴代10位の420勝、プレーオフでは同3位の98勝を記録。34歳のピュアシューターはウォリアーとして輝かしい実績を残したが、今夏にマブズへ電撃移籍し、今回が初のチェイス・センター凱旋となった。
この試合を迎えるにあたり、カリーは自身のX(旧Twitter)に「久しぶりだね、兄弟。コートではバトルになることはわかっているはずだ。いろんな感情が込み上げてくるよ。でも楽しもうじゃないか」と投稿。
グリーンも会場入りの際にNBAの公式アカウントで「NBAカップが始まる。俺たちにはこの勝利が必要だ。大切な夜になるな。クレイが帰ってくるんだから、本当に重要な夜になる」と話していた。
そしてスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、試合前の会見で昨季まで10年間指導したトンプソンについて次のように語っていた。
「彼は4度の優勝を飾っただけでなく、ファンの心をも掴んできた。それはクレイの持つスキルや球団への献身、激しい競争心だけではない。彼にはすぐさま我々のファンと繋がるほどのオーラがある。そう言える選手、インパクトがある選手は極めて珍しいが、クレイにはそれがあるんだ」
選手紹介でウォリアーズファンから温かい拍手で迎えられたトンプソンは、古巣相手に3ポイント成功率50.0%(6/12)の計22得点に4リバウンド、3アシストをマーク。
マブズは第4クォーター残り3分29秒に6点のリードを奪ったが、そこから試合はウォリアーズのフランチャイズプレーヤーのワンマンショーと化した。
カリーがプルアップジャンパーに長距離砲、近距離と7連続得点で逆転に成功すると、残り27.1秒にはデレック・ライブリー二世越しにリードを4点に広げる3ポイントを鮮やかに放り込み、“Night Night”セレブレーションを披露。ウォリアーズファンを熱狂させ、チームを120-117の勝利に導いた。
トンプソンの凱旋試合を制したウォリアーズは、カリーがゲームハイの37得点に6リバウンド、9アシスト、2ブロック、ジョナサン・クミンガが16得点、5リバウンド、ディアンソニー・メルトンとバディ・ヒールドが14得点、グリーンが11得点、7リバウンド、6アシスト、3スティール、2ブロックの活躍で勝利に貢献。
この試合を終えて、ウォリアーズはウエスタン・カンファレンス3位の9勝2敗(勝率81.8%)、3連敗のマブズは同11位の5勝6敗(勝率45.5%)となった。
トンプソンが次にサンフランシスコに凱旋するのは2025年2月23日となっている。
文●秋山裕之(フリーライター)
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