近年、LGBTが当然のように謳われている。自身の性の自認をためらうことなくオープンにできる時代となった。そんな中、初めて同性に惹かれてトキめきと戸惑いをかかえている女性がいる。取材に応じてくれたのは弥生さん(33歳主婦/子供ナシ)だ。
ネットカフェで話を聞くことに
ここでいい(写真:iStock)
しかし、弥生さんは見逃せなかった。
「そばに歩み寄り、遠慮がちに『美和子先生…?』と声をかけたんです。名を呼ばれた先生は目を見開いて呆気に取られていましたが、『弥生さん…私、裏切られたの』と泣きながら抱きついてきたんです」
予想外の事態が起きて困惑したものの、彼女の柔らかな体に、弥生さんはドキッとしたという。
「あの時はあまりにも驚いて記憶が定かではありませんが、先生の背中に手を回し『別なところに行きましょう』と、2人を引き離したことだけは覚えています。
すすり泣く先生の背中に手を回したまま、渋谷の街を歩いていると、先生が『ここでいい。ここで話を聞いてほしい』とネットカフェの看板を指したんです」
2人はエレベーターで6階まで行き、カップルシートをリザーブした。
続きは次回。
(蒼井凜花/作家・コラムニスト)