『キーボードというインターフェイス』についての、超深い話

というわけで、取材は諦めて、少しでも控室で暦本さんや清水さんとお話しして、上手くモデレートしようと努力したのだ(だからイベント全体の記事は書けない)。

そもそも、おふたりとも、コンピュータの専門家だからキーボードには親しんでいる。そのふたりがHHKBを選んでいるということには重要な意味があるのだ(ちなみに、筆者を含めて3人ともHHKBエバンジェリストである)。

暦本さんはUS配列、清水さんは日本語配列のかな入力(!)、筆者は日本語配列のローマ字入力と、若干使ってる仕様こそ違うが、普段から何台ものHHKBを使っている。暦本さんは東京の研究室にもソニーCSL京都にもHHKBが置いてあるらしいし、清水さんも各地の拠点にHHKBを置いてあるし、出張の時にも持ち歩いているそうだ。

そこで、おふたりの初体験キーボードと、HHKBとのなれ初めを聞くところから話を始めてみた。インターフェイスの専門家である暦本さんに、コンピュータはこの50年ほどの間に着々とし進歩しているのに、この60〜110個ぐらいのスイッチを、10本の指で連続的にタッチすることで扱う『キーボード』というインターフェイスは、なぜ変わらないのを聞いてみた。

また、AR/VR、そしてAIが普及していくこれからの未来でも、我々はこのキーボードというデバイスを使っていくのかも気になるところだ。

AR/VR空間では案外文字入力がしにくいし、Meta QuestのコントローラやVision Proの視線入力や指というデバイス(?)も、ポインティングデバイスとしては扱いにくい側面もあるので、HHKB Studioのような『キーボード+ポインター』というデバイスは非常に存在意義がある。

清水さんによるとVision Proの視線入力時に、微妙な位置の決定が上手くいかない時に、HHKB Studioのポインティングスティックが非常に役に立つのだそうだ。

AIが進化していくと、文章作成もかなりサポートしてくれるだろう。しかし、思考の道具(テキストを書きながら考える)としてのキーボードの立ち位置は変わらないに違いない。

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『人類が使わなくなってもオレは』(清水)、『生活の根源的豊かさ』(暦本)

話は、予想どおり思い掛けない方向に広がりまくったのだが、筆者の頼りないモデレートに手加減して下さったのか、暦本さんも清水さんも比較的テーマに沿って話して下さって大変助かりました。さらに最後の締めはさすが、お二人とも話慣れてらっしゃいます。

「この会の打ち合わせの時『キーボードはなくなる』とか言ったんだけど、やっぱHHKB Studioを作ってくれたこと、マジ感謝している。人類がキーボードを使わなくなったとしても、オレは使う」と清水さん。

「ちゃんとしたキーボード使うっていうマインドは、生活の根源的豊かさ。どうでもいいキーボードで字を打っていいのか? 一番触れているものに投資しなくてどうするんだ」と暦本さん。

いいお話を聞けました。

ぜひ、全編をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。

イベントの色々について、こちらにいしたにさんがXのポストをまとめてくれているので、こちらもぜひご覧下さい。

HHKBミートアップ2024まとめ #HHKBミートアップ

https://togetter.com/li/2462140

(村上タクタ)