「彼はゲームをマスターしている」。指揮官から絶賛されたレブロンが引退時期に言及「ボロボロになるまでプレーするつもりはない」<DUNKSHOOT>

 ロサンゼルス・レイカーズは、現地時間11月13日のメンフィス・グリズリーズ戦を128-123で制して3連勝、ホームのクリプトドットコム・アリーナでは今季6戦無敗をキープしている。

 この日はアンソニー・デイビスが21得点に両チーム最多の14リバウンド、3ブロック、八村塁が19得点、7リバウンド、3アシスト、5本の3ポイントすべてを成功させた新人のダルトン・コネクトが19得点、3アシスト、オースティン・リーブスが18得点、6アシストを記録。

 もっとも、チームが3連勝を飾った最大の要因はレブロン・ジェームズの爆発にほかならない。「彼はゲームをマスターしている。我々は彼なしでは試合に勝てない」とJJ・レディックHC(ヘッドコーチ)が称えたように、ゲームハイの35得点、12リバウンドに14アシストの働きでチームを勝利に導いた。

 30得点超えのトリプルダブル(TD)はこの試合で通算40度目に達しただけでなく、8日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦(21得点、12リバウンド、13アシスト)、10日のトロント・ラプターズ戦(19得点、10リバウンド、16アシスト)に続いて3試合連続のTDを達成。自身が34歳の時に残した記録を更新し、3戦連続TDのリーグ最年長記録(39歳319日)を打ち立てた。
 「俺はただ辛抱し、自分へのディフェンスを利用しただけ。これまでずっとそうやってきた。俺は(試合の中で大事な)時間と得点する時を熟知している。ゲームにおける流れもね。だからこれといって新しいことはない」

 試合後にそう語った百戦錬磨の大ベテランは、今季も平均35.0分のプレータイムで、平均24.3点、8.1リバウンド、9.4アシストのオールラウンドな成績をマーク。フィールドゴール成功率52.4%、3ポイント成功率は45.9%とキャリアハイのペースを更新中だ。

 今季だけですでに4度、レギュラーシーズン通算116回目(歴代5位)のTDを記録し、今もなお絶大な影響力を誇る男はこうも話していた。

「俺は今この瞬間を生きている。コートに立って今でもハイレベルで大好きなゲームをプレーできるのはいい気分だ。フロアに足を踏み入れ、毎晩どんな形であろうとチームが成功するため助けようとしているだけだ」 バスケットボールという競技を熟知した“ゲームマスター”といっても過言ではないレブロンは、12月30日に40歳を迎える。現行契約は来季がプレーヤーオプションのため、これを破棄すれば今季終了後に完全FA(フリーエージェント)になる。

 レブロンはNBAデビューした2003-04シーズンから今季を含め22シーズン連続で平均20点以上を残している。加齢や身体能力の下降などでトップレベルのプレーを維持できなくなっても、206cm・113kgの屈強な肉体と豊富な経験、バスケットボールIQを駆使すれば、まだまだNBAでプレーできるだろう。

 そんなレブロンはグリズリーズ戦後、残りの現役生活について注目の発言をしていた。
 「本音を言うと、俺がこれから先も長くプレーすることはないだろう。どれくらいの期間なのか、あと1年、それとも2年なのか、どうなるかは俺にもわからない。前にも言ったけど、俺はボロボロになるまでプレーするつもりはない。コートにいたいからという理由で、ゲームを軽視するような人間にはなりたくないんだ」

 少なくとも、現段階でリーグトップレベルの数字を残しているレブロンがすぐに現役を退くことはないだろう。だが現在のプレーのクオリティを継続することが困難になった場合、コートを去る決断を下すということなのかもしれない。

 22シーズンにわたってトップレベルを維持してきた不世出のスーパースターは、引退後のバスケットボール殿堂入りは確実。残りの現役生活がどれくらいであろうと、“キング”のプレーを目に焼き付けておきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)