〈大激戦・兵庫県知事選〉猛追・斎藤前知事「パワハラではなく指導だった」逃げる稲村氏「対話したら人の命は失われなかった」

“本命”稲村和美氏もラストスパート

選挙戦では、斎藤氏を応援するといって立候補したNHK党党首・立花孝志氏が斎藤氏の演説会の前後に同じ会場で演説を行ない、Aさんの告発文書は「名誉棄損のビラ」だとしながら、Aさんの“個人情報の内容”とするものを公言してきた。(#2)

15日の垂水駅前の斎藤氏の演説会場に立花氏は現れなかったが、斎藤氏自ら、Aさんの個人情報が「不適切な内容」だと言明したといえる。

県議会の百条委は知事選投開票日の翌日の18日に再開される。年内には告発文書の内容の真偽を含めた判断を出すとされる百条委で、斎藤氏は選挙の結果のいかんにかかわらず、告発内容を全面否定する姿勢を維持するとみられる。

一方、自民党県議の多数派や立憲民主党系県議、連合など、斎藤氏とは比較にならない広い組織の応援を得ながら斎藤氏に迫られている稲村氏は15日、12年間市長を務め、地元ともいえる尼崎市を練り歩き支持を訴えた。

演説で稲村氏は「この兵庫県の混乱、もう何ヶ月になるでしょうか。さすがに終止符を打たないといけません」と述べ、混乱を収拾するため知事が交代すべきだと訴え続けた。

「医療、福祉、防災、いろんなことを税金を預かって仕事をしている行政です。そして大きな権限を扱っているのが知事です。
今回の選挙で問われているのは、前知事がいい人やったか悪い人やったかではありません。行政組織をあずかるリーダーとして、組織運営に課題があったんじゃないかということです。

県職員が『行政運営がちょっとまずいんじゃないの』と声を上げた。そしたらその内容に向き合ってちゃんと対話をしたらよかった。人の命が失われることはなかった。

今回の一連の対応は公権力をあずかるリーダーとしてはあまりにもやってはいけないこと。あずかっている権力は、みなさんのために仕事をする職員を萎縮させるために使ったらあかんのです。私たちの暮らしを守るためにこそ使わなあかんのです」(稲村氏)

選挙戦最終盤、再び前面に浮上したAさんの告発をめぐる問題。選挙の結果がどうあれ、その真偽を含めた決着は必ず迫られることになる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班