何もかも揃っているような東京に住みながら、関西でいただく食事はなんであんなにうまいのか。そんな気持ちにかられて、先日、神戸、大阪、京都を食べ歩きしてきました。 どの店も本当に良かったので、おばさんの井戸端会議風にここで披露させてください。紹介する店のテーマは「あれ? 観光地なのに外国人がいなかった?」。

オーバーツーリズム状態とはいえ…



お馴染みのニデック京都タワー(写真:著者、以下同/無断転載禁止)

 インバウンド狙いの観光業。もちろん悪いとは言いませんが、あまりにも日本へ観光客が集中しすぎではないでしょうか…。

 というのも私、薄顔のせいなのか中国人によく間違えられるんですね。表参道のスタバや沖縄のレンタカーショップで、英語メニューを出されたときは軽いショックを受けました。

 他にも、都内で道を歩いているだけなのに、韓国語で喋りかけられることも。そんな理由から最近では東京の中心部へ出かけることも、憚れるようになってしまいました。日本人が好きなのよ。

 他にも使用中だらけのロッカーに、乗れないバス、それから、それから…と言いたいことは尽きませんが、今回はそんな話題から少し離れましょう。選りすぐりの良い店をご案内したいと思います。

【前編『「う、うまい…」秋の京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで』はこちら

(広告の後にも続きます)

噛まない牛カツレツに笑みが止まらず



煉瓦作りの可愛らしく、洋食店らしい外観。祝日はどれだけ並ぶんだろう…

 まずは神戸市内の西元町にある『洋食の朝日』から。神戸はパンや洋食が有名ですが、そのトップオブトップに君臨する“ザ・洋食店”がこちらです。

 店舗に到着したのは13時過ぎ。平日ですが、40分ほど待ちました。この店では1時間くらい並ぶ心積もりで参りましょう。大丈夫、並んだ時間が報われるほどのうまさが待っています。

 ああ、この熱量を自著の執筆に向けたらいい文章が書けそうなのに、動くのは胃ばかりなり。

 メニューはチラ見しましたが『ビフカツ』一択。ビーフカツとは普段、そんなに食べないし、都内で見かけないかもしれません。自分で作るなんて選択肢にもありませんね。ここはプロの味を堪能したいところ。



ビーフカツ、拝んでください

 着席してから20分ほどでしょうか。白飯、味噌汁と一緒に運ばれてきた『ビフカツ』(1,800円)。写真、よーくご覧ください。カラッと揚がったパン粉に包まれた熟成肉は、ほどよくレア。どうしたらこんな芸術品のように仕上がるのか。特製のデミクラスソースをつけていただきます。

「…あれ? 私、噛んだ?」

 そう思うほど柔らかな食感! これは歯を気にせず、老若男女、すんごい体験ができますね。その後、来て良かったとホクホク顔で、カツレツを食べ進めるわけですが、なくなってしまうのが悲しくなるほどのうまさでした。昔、焼き肉ばかりを食べていた先輩に、

「いい肉はね、胃で溶けるのよ」

 と、ドヤ顔で豪語されたことがありましたが、今なら先輩の気持ちがわかります。このカツレツは胃で溶ける。

 時折、白飯をソースにワンバウンドさせながら完食。ちなみに平均単価が1,000~2,000円。夜営業はなし、土日は休みというなかなかのハードルの高さです。

 でもこの店のためなら有給取っても悪くないんじゃないかしら。