皿をレインボーにする
ウェルネスになるためには、採れたばかりの「ホールフード(whole food=加工が最小限で栄養価が高く、自然の状態に近い食品)」を食べることが重要だ。
地中海食は、多くの臨床研究において、体重を減らし、コレステロール値を下げ、心臓病のリスクを減らすことが示されている。
「地中海式ダイエット」は、Whole food plant-based diet (WFPB)とも呼ばれるホールフード・プラントベースの食事であり、新鮮で加工されていない植物性食品をメインに食べる科学的根拠に基づいたダイエット法。「制限する」のではなく、栄養を「摂り入れる」という考え方だ。
色とりどりの野菜や果物、全粒穀物、ナッツ類、豆類、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を毎日しっかり食べる。
ハーブやスパイスを塩の代わりに使う。
魚介類は週に2、3回食べる。私が「Health and Wellness」講義を受けていたハーバード大学の研究では、毎週2、3皿の魚を食べるだけで、心臓発作で死亡するリスクを3分の1以上減らすことがわかっている。
これらの食材こそがウェルネスへの道だ。
毎日、食卓に並ぶ皿の色にも気をつけるといいだろう。と言っても、皿そのものの色ではなく、皿に盛った「食材の色」のことだ。色とりどりの野菜や果物を中心とした「虹色の食事」がウェルネスのサポートをする。これはアメリカの栄養学の研究者、ディアナ・ミニッチ博士が提唱している食事法だ。
食材の色は、その食べ物にとって優勢な栄養素を表している。虹色になればなるほど必要なミネラル、ビタミンが摂取できる。
逆に、皿の色がベージュであればあるほど、加工品、小麦、砂糖、脂肪食品、油、加工度の高い食材を選んでいることになる。
栄養素を計算して買い物をするのは難しいが、買い物カゴの中身が七色になることを意識するとシンプルで、楽しくて、ビタミンカラーによって心も元気になる。
加工度の低い、新鮮な野菜や果物を積極的に食べ、塩をハーブやスパイスに変え、魚を週に2、3回食べる。皿の上はレインボーになるように心がける。
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完全無欠のタンパク質「大豆」
私は菜食主義者になることを推奨しているわけではない。菜食主義者にも健康な人と不健康な人がいる。菜食主義者であっても超加工食品を日に3回も4回も食べている人もいる。
ここであなたにはこんな疑問が湧いたかもしれない。
「肉は食べてはいけないの?」
私が提案したいのは、肉をメインディッシュにするのではなく「サイドディッシュ」にすることだ。肉類はどうしても悪い脂肪を含むことが多いし、カロリーが高いし、環境への悪影響もある。かといって、肉が大好物の人にとって「肉断ち」は極めて酷だろう。
一般的なレストランに行くと、肉の量は最低100グラム、場合によっては200グラムや300グラム出てくることもある。これは明らかに食べすぎだ。
そこで、週に1回や2回程度、85グラム以下の肉をサイドディッシュ感覚で食べるのがオススメだ。
飽和脂肪酸が多い赤身の肉(牛肉、豚肉、羊肉など)は血中コレステロールを上昇させてしまうため「皮なしの鶏肉」がベスト。ハムやベーコン、ソーセージなどの加工されている肉はできるだけ避けたほうがいい。
そして、ジャンクフードなどの超加工食品を排除する。
これが、多くの医師たちが推奨している地中海式の食事パターンだ。
ここで最高の食材をひとつご紹介しておく。大豆だ。
大豆は単位重量当たりの比較で、牛肉、鶏肉、魚介類より多くのタンパク質を含み、コレステロールはない。
しかも、「完全無欠」の植物性タンパク質である。
人はタンパク質を分解してできる20種類の基本アミノ酸を必要とする。そのうち11種類は体内で作ることができるが、残りの9種類は食物から摂らなくてはならない。「動物性タンパク質が必要」とする主張はこれを叶えるためだが、大豆のタンパク質はこの9種類のアミノ酸すべてを供給できる点で、肉類と同じだ。
しかも、肉類と違ってカロリーも、環境への悪影響も少ない。
日本人にお馴染みの「枝豆」は、鮨屋や小料理屋で出てくる無料のつまみくらいの認識かもしれないが、あれは茹でた大豆だ。枝豆は、育ちきる直前に摘み取った大豆の別名であり、驚くほど健康的で、魚よりもタンパク質やその他の栄養素が豊富。枝豆1カップで、なんと約20グラムのタンパク質が含まれている。
写真/shutterstock