ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは、MotoGPタイトル争いのライバルであるホルヘ・マルティンが最終戦で「ナーバス」になっているのが分かるとしながらも、それはタイトル獲得目前のライダーにとっては普通のことだと主張した。
バニャイヤは最終戦ソリダリティGPにマルティンから24ポイントビハインドで臨んだが、予選でポールポジションを獲得、スプリント優勝と素晴らしいペースを見せている。
対するマルティンは予選4番手、スプリント3位と一歩遅れている感があるものの、決勝レースではたとえバニャイヤが優勝したとしても9位以上に入れば、初のチャンピオンに輝くという状況だ。
バニャイヤはマルティンの状況について、自身が初めてタイトルを獲得した2022年、ヤマハのファビオ・クアルタラロに23ポイント差をつけて最終戦を迎えたときの緊張感を思い出したと語った。
「2022年のことは完璧に覚えている。ホルヘはプレッシャーに苦しんでいると思うが、それは普通のことだ」
「週末を通して、彼はかなりナーバスになっていた。それが普通なんだ」
「レースであれば、彼はうまく状況をコントロールできると思う。彼は今日、素晴らしい仕事をした。2列目からスタートし、表彰台に上った。それほどトリッキーではなかったと思う」
「日曜日のレースも今日のようになるだろう。ホルヘはリスクを冒さずにクルージングする。彼は多くのマージンを持っているから、僕が勝ってもホルヘは9位でフィニッシュできる。だから僕にとってはとても難しいシチュエーションだ。2022年の僕みたいだね」
金曜日のプラクティス中、ピットに戻ったマルティンが明らかに動揺している様子がテレビカメラに映し出された。後に彼は、プラマックのガレージに戻った際にクルーチーフがすぐに対応してくれなかったことに苛立ったのだと説明していた。
マルティンはスプリント最終周でエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)に抜かれた際にも頭を振ってそのストレスを表現していたが、彼自身かなりナーバスになっていると認め、その上で表彰台を獲得できたのは大きかったと語った。
土曜日の心境と緊張具合はどうだったかと尋ねられたマルティンは、次のように答えた。
「予選の後、食事をしているときはかなりナーバスになっていた。今日はほとんど何も食べなかったんだ」
「その時点ではかなりナーバスになっていたけれど、冷たい水を飲んだり、冷たいシャワーを浴びたりして、少しでも”生きよう”としたんだ」
「レースはとても落ち着いていて、いい感じだった。プランはいつもと同じことをすること。だから明日も同じように頑張るよ。自分の100%で臨み、最終的にマネジメントできる状況ならそうするし、そうでなければプッシュする。状況次第だ」
マルティンは12周のスプリント5周目にバスティアニーニから2番手を奪い、一時はじりじりと離したが、レース終盤にバスティアニーニが再び差を詰めた。
しかしグレシーニのマルク・マルケスとランキング3位争いを繰り広げるバスティアニーニは、最終ラップのターン5でマルティンを抜き去り、2位に浮上した。
バニャイヤは2位争いを繰り広げるふたりの1秒ほど前を走りながら、頭の中で計算をしていたことを明かした。
「正直なところ、最後の3ラップはコンビネーションを研究していたんだ」
「できるだけ多くのポイントを獲得したかったし、21ポイントではなく19ポイント差にしたかった。その2ポイントが違いを生むんだ」
「僕は何よりもエネアの成功を願っていた。大きなスクリーンで彼が近づいているのが見えたからね。それに、ターン5でエネアがパスしたのだから、とても良かった」