セックスでの大量死を乗り越える「ネクロフィリア戦略」
セックスでの大量死を乗り越えるネクロフィリア(死姦)戦略 / Credit: canva,ナゾロジー編集部
近年に行われた研究では「激しい性の宴での死」すら生殖手段としているカエルたちがいることも報告されています。
2012年にブラジルの国立アマゾン研究所で行われた研究によれば、爆発的繁殖が引き起こした交尾玉(mating balls)のせいで「溺死」あるいは「圧死」したメスの死体を上手く刺激することで、卵を体外に排出させ、精子を吹きかけて受精させられるオスのカエルがいることが判明しました。
メスは自分が死んだ後でも卵を吐き出す仕組みを進化させており、一方のオスもその方法を本能レベルで理解しているのです。
このようなネクロフィリア(死姦)戦略は爆発的繁殖という状態においても粘り強く子孫を残すために有用だったのでしょう。
もしかしたら4500万年前のカエルたちも同様の方法を採用していたのかもしれません。
※この記事は2022年8月に掲載したものを再編集してお送りしています。
参考文献
Ancient swamp is sex death trap for fossil frogs
https://www.eurekalert.org/news-releases/957817
元論文
The skeletal taphonomy of anurans from the Eocene Geiseltal Konservat-Lagerstätte, Germany: insights into the controls on fossil anuran preservation
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/spp2.1453
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。