『齋藤彰俊引退記念大会 -Deathtiny-』愛知・ドルフィンズアリーナ(2024年11月17日)
GHCヘビー級選手権試合 ○清宮海斗vs杉浦貴×
齋藤彰俊引退興行のメインを飾ったGHCヘビー級王座戦で、王者・清宮が激闘の末に杉浦の挑戦を退けて6度目の防衛に成功。その試合後に無法集団『TEAM 2000X』に寝返った小澤大嗣に松葉杖でKOされ、屈辱のバッドエンドを強いられた。小澤は元日・日本武道館大会でのGHCヘビー挑戦を表明しながら、清宮が「彼女と同棲中」であることを暴露し、一夜にして別人格へとひょう変した。
「齋藤さんの引退興行で齋藤さんにベルト姿をみせたい」。そう挑戦表明した杉浦が、齋藤引退のその日に地元・名古屋で王者・清宮に挑戦。
かつて杉浦に師事した清宮も「もう杉浦さんから吸収できるものはない。あなたが引退を考えるほど圧倒して防衛する。それが最大の恩返し」と突きつけたが、この一言が眠れる杉浦の“殺気”に火をつけた。調印式では超ピリピリムードで「人から引退うんぬんを言われるほど腹が立つことはない。おい、小僧。NOAHで24年間やってきたプロレスラー・杉浦貴をナメんなよ」と凄み、怒りの“息子超え”を宣言していた。
やはり齋藤に捧ぐGHC戦は、壮絶な“親子喧嘩”となった。序盤から波乱の展開。清宮がヒザ攻めで優勢に進めたが、途中でアクシデントが発生した。ウルトラタイガードロップを狙った際にフェイントを決めようとした場面で体勢が崩れてロープに首が挟まってしまう。それでも攻勢を続けるが、杉浦はロープ際で場外めがけて強引にブレーンバスターを強行。場外戦では床直撃のネックスクリューまで繰り出した。
大ピンチを迎えた清宮だったが、再びヒザ攻めを仕掛けて活路。足4の字固めで絞めに絞めると、シャイニングウィザード、タイガースープレックスで仕留めにかかる。しかし、杉浦も意地。馬乗りになって鬼のエルボー猛連打を浴びせると、雪崩式フランケン、急角度ハイクラッチジャーマンと大技を重ねていく。オリンピック予選スラムもさく裂。それでも清宮が沈まないとみるや、最終奥義の雪崩式五輪予選スラムの体勢に。
抵抗をやめない清宮は頭突きをぶち込み、コーナー上で杉浦を足止めすると、ひらめきを発揮。コーナー上でシャイニングウィザードを敢行する。エルボー合戦、ビンタ合戦と壮絶な打撃戦になだれ込むが、清宮は顔面にドロップキックを発射。倒れない杉浦も殺気を漂わせてラリアットやストレートパンチを返したものの、清宮はここぞとばかりにブーメラン式、延髄へのダイブ式…と各種シャイニング弾を連発する。そして、最後は必殺の変型シャイニングウィザードがさく裂し、熱戦を制した。
壮絶な杉浦の猛威をすべて受け止め、堂々たるV6。頼もしくなった王者は、去りゆく杉浦の背中に「杉浦さんの大きな背中をみて自分は育ってきました。これからはこのNOAHを清宮海斗と若い力に任せてください! 杉浦さん、今日はありがとうございます!」とマイクで声をかけ、花道途中で振り返った杉浦も握りこぶしに親指を立てて応えた。
だが、”事件”はその後だった。ALL REBELLIONの面々を呼び込むと、「今日は齋藤さんの引退記念大会でたくさんのご来場ありがとうございます。齋藤さん! 安心してください。NOAHには自分がいます! これからのNOAHは清宮海斗と若い力に任せてください! ノアは歴史とともに新しい時代に進んでいきます! ニュージェネレーション革命の始まりだ!」。そう叫んだ清宮が「ALL REBELLION…すべてはNOAHのために!!」と締めくくったその時立った。
傍らの小澤が松葉杖で清宮を突然殴りつけ、すかさずジャック・モリス、ダガ、ヨシ・タツの『TEAM 2000X』勢が乱入。凶器でALL REBELLION勢を一掃すると、小澤は黒い松葉杖を渡されて清宮をボコボコに殴りまくった。
大ブーイングのなか、小澤はALL REBELLIONのTシャツを脱ぎ捨て、T2000XのTシャツに袖を通してT2000X入り。4人に増員されたT2000Xの面々が、大の字の清宮を眼下に悠然とXポーズを決め、大ブーイングのなかで名古屋大会の幕が下ろされた。
小澤は10月に英国武者修行から帰国してALL REBELLION入り。凱旋試合に向けた練習中に左足を骨折して欠場中だった。ALL REBELLIONとして一戦もせぬまま造反する前代未聞の裏切り。バックステージでは元日・日本武道館大会でのGHCヘビー挑戦を表明しつつ、清宮が「彼女と同棲中」であることまで暴露する傍若無人っぷりまでいきなり発揮…。清宮が叫んだ“ニュージェネレーション革命”は皮肉にも小澤による“黒い革命”で塗りつぶされてしまうのか。