日本代表の長友佑都が、11月19日に敵地で行なわれる中国戦(北中米W杯最終予選)を前に取材に対応。煮えたぎるほど熱い胸の内を明かした。
森保ジャパン最年長で142キャップを誇る38歳は、2022年12月のカタールW杯以降、代表から遠ざかっていたなか、今年3月に復帰。それ以来、継続して招集を受けているものの、出場機会は訪れず。9月に始まった北中米W杯最終予選ではベンチにも入れていない。
だが長友は「辛いとは思ってない」ときっぱり。その自信の根拠は、これまでクラブ、代表で幾度となく壁に阻まれながら、その度に乗り越えてきた唯一無二の経験だ。
「必ずチャンスをモノにできる自信があるので、僕は落ち着いていますよ。最終的にしっかりと掴むものは掴んできたので。今までもたくさん苦しいことはありましたし、もっともっと厳しい状況の時がありましたから。『大事な時には長友がいる』『そこに長友がいる』というところで、そこは自分自身、自信を持っています」
同じく出場機会確保に苦しむ選手に菅原由勢がいる。24歳のSBは森保ジャパンで一時定位置を掴んでいたが、3バックの採用に伴いサブに降格。それでも決して腐ることなく、持ち前の明るさを存分に発揮し、長友と共に常にチームを鼓舞してきた。
それが報われたのが、直近のインドネシア戦だ。3-0で迎えた62分から最終予選初出場を果たすと、7分後に勝利を決定づける4点目をマーク。その瞬間、ベンチメンバーを含め、チームメイトが次々と駆け寄り、歓喜の花を咲かせた。
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ベンチ外のためスタンドで見ていた長友も思わず、「アウェーの状況だったんですけど、思いっきり吠えた」ようだ。
「嬉しかったのと、彼も苦しい思いをして這い上がってきたので、そういう彼が示したっていうのは僕自身、大きな刺激をもらいました。厳しい競争の中で苦しい思いをしている選手もいるし、スタメンの選手たちもちょっとでもダメなプレーをすると代えられてしまう危機感の中でやっているので。
彼が苦しい、出られない状況のなかで、1つそれを乗り越えるとまた花開くところをみんなに示したし、あれだけみんなが喜ぶってことは人間性。練習中に腐っていたり、文句ばっかり言っていると点を取った時に誰も寄ってこないと思うんですよね。前向きにポジティブにやっているものが、人の心に響く。ああいうふうに自然と人が集まってくると、彼が体現したんじゃないかなと思います」
サイドバック、明るいキャラクター、不屈の闘志。重なる部分が多く、一番近い長友の後継者のようにも思える。
報道陣からその点に関して問われると、誰よりもギラつき、「僕は魂を分け与えている。言葉も必要ないし、自分の姿を見てもらえれば、おのずと魂の中に熱いものをこみ上げてくると僕は体現したい。日本のソウルであり続けたい」と熱く語るレジェンドは、こう言い放ち、爆笑を誘った。
「僕の後継者は簡単ではないですよ。こんなぶっ飛んでる癖のあるやつは中々いないので。今になってやっと、癖があるって気付いてきたんですよね。普通だと思っていたので。中々僕の後継になるのは難しいと思うんですけど…違う体現の仕方というか、伝え方、表現の仕方はあるので…。彼はなんか似たものを感じますね」
もっとも、まだまだ後輩に道を譲るつもりはない。またしても逆境を跳ね返すために、まずは、3戦全敗で散った北京五輪の苦い記憶がある中国で足掛かりを掴めるか。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
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