2026年北中米ワールドカップ・アジア最終予選の折り返しとなった15日のインドネシア戦を4-0で勝利し、4勝1分の勝点13でC組のトップに立つ日本代表。しかしながら、移動を伴う中3日で迎える19日の中国戦はコンディション的に厳しくなる。
もっとも、「気候も涼しいんで、思ったより動きやすいと思います」と伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)が前向きにコメントした通り、高温多湿にスコールが加わったジャカルタに比べると、選手たちは適応しやすいはずだ。
スタメンに関しては、森保一監督は本大会切符を獲得するまではメンバーを固定する見通し。変化を加えるとしても3-4-2-1の2シャドーくらいだろう。これまでも南野拓実(モナコ)を軸に据え、鎌田大地(クリスタル・パレス)と久保建英(レアル・ソシエダ)の2人を入れ替えながら組み合わせるスタイルが続いており、中国戦では久保が右シャドーで先発しそうだ。
とはいえ、指揮官は彼ら3人だけを起用しているわけではなく、堂安律(フライブルク)や浅野拓磨(マジョルカ)、三笘薫(ブライトン)らをインサイドでトライ。インドネシア戦では伊東も右シャドーに据えて、新たな可能性を模索したのだ。
「シャドーで出てた時はよりゴールに近いんで、ゴールを取れるような動きをしたいなと思いますし、前を向けたら向いたで勝負を仕掛けられればいいですね。シャドーでも裏抜けとか外と入れ替わることはできるし、いろいろやれると思います」と、本人は得点やチャンスメイクをより強く意識しながらプレーしたことを明かす。
伊東がインドネシア戦でピッチに立ったのは62分から。菅原由勢(サウサンプトン)と一緒に入ったことで、右ウイングバックが菅原、右シャドーが伊東、3バック右が橋岡大樹(ルートン)という、少し前までポジション争いをしていた3人が右サイドの近い関係性で連係することになった。
「攻撃になった時、ユキ(菅原)と入れ替わろうと思ったんですけど、時間的にできなかったっていう感じですね。自分は中にいる時、サイドにいる時を考えると、サイドの方が良さが出るんで、その入れ替わりはしてもいいかなと思っています」と、伊東は菅原とお互いの良さを出し合えると感じていたという。
それが69分のチーム4点目という形で具現化された。橋岡が出したボールを菅原が右のタッチライン際で受け、少し高い位置の大外に動いた伊東にパス。その瞬間、一目散に菅原がインナーラップして、シュートまで持ち込んだのである。
「自分も縦に行けたら行きますけど、別にそれだけじゃないんで。その時、その時で良いものを選べばいいと思います」と伊東は冷静に語っていたが、右利きの菅原にゴール前でシュートを打たせようと思うなら、インサイドのスペースを空けるのが最善策だった。
橋岡を含めて、3人が3人とも右ウイングバック経験者だからこそ、同じ絵を描けたのではないか。この成功体験は今後にもつながるだろう。
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一方で、伊東が右シャドー、堂安が右ウイングバックに入る場合は、堂安が左利きということもあって、菅原とは異なる活かし方が必要になる。
「入れ替わったりはするかなとは思いますけど、攻撃になった時は誰が出てもコンビネーションのところはできるかなと思います」と伊東は自信をのぞかせた。やはりパンチ力あるシュートを持っている堂安は中に入れて得点を狙わせ、自身は外から攻め込む形を作る方が効果的ではある。伊東も豪快なシュートは持ち合わせている選手だけに、誰と組んでもゴールだけは最優先に考えるべきだ。
いずれにせよ、伊東が右シャドーで新境地を開拓できれば、堂安や菅原、橋岡との共存が可能になる。それは大きなメリットだ。さらに左シャドーの南野、三笘、中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)らと組む相乗効果も期待できるだろう。
もちろん、伊東のシャドー起用はスタートからではないだろうが、時間帯や状況、相手の出方を見ながら有効な一手を打てるようにしておくのは、悪くないアイデアだ。
「(三笘と伊東のシャドー起用も)相手にとってすごく脅威だなと感じます。縦へのスピードがあるので、ポジションチェンジした時に彼らがもう1回、大外で起点になれるのはすごく良いことだなと。(旗手)怜央(セルティック)が入ってからスルーパスを通したりもありましたし、前の選手の攻撃のバリエーションを増やしていけるのは良いこと。相手にも効いていますし」と南野もポジティブな見方をしていた。
多種多様な組み合わせが中国戦でも大きな効果をもたらせば理想的。伊東には新たなチャレンジを目に見える結果につなげられるようにベストを尽くしてほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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