中村憲剛の突撃訪問の効果? プレーオフ進出への大一番を制した福島にもたらされた刺激とは

[J3第37節]福島 2-1 沼津/11月17日/とうほう・みんなのスタジアム

 J2昇格プレーオフ進出へ向けて37節で対戦した6位の福島と、7位の沼津の一戦は、2-1で福島に軍配が上がった。

 この結果、中山雅史監督率いる沼津のプレーオフ進出の道は絶たれ、一方で福島は6位のままだが、7位の北九州との勝点差は「3」ながら、得失点は「11」上回っているだけに、油断は禁物だがプレーオフ進出はほぼ手中に収めたと言って良いだろう。

 ホームでの沼津戦、4634人の観衆に後押しされた福島は、先制を許しながら、持ち前の技術力を活かしたサッカーで逆転勝利を収めた。

 昨季までJ1川崎のコーチを務め、今季から指揮初挑戦として就任した寺田周平監督も「頑張っても引き分けに終わっていたようなゲームを、勝ち越して、最後の苦しい時間を耐えた。一番は選手が成長してくれたというのをすごく感じています。そこが嬉しい限りです」と喜びを口にした。

 大きな一勝を手に良い雰囲気でリーグ最終戦の岩手戦にも臨めそうだが、その背景には、川崎のあのレジェンドの存在もあったようだ。
【動画】福島×沼津のハイライト
 川崎でも指揮を執った関塚隆テクニカルダイレクターが就任していた福島は今年2月に川崎と、双方のチームおよび選手の強化、育成を目的とした業務提携を締結。前述の寺田監督に続き、アカデミーから昇格して2年目のMF大関友翔、SB松長根悠仁が川崎から福島へレンタル移籍するなど関係性を深めていた。

 そして沼津戦の数日前には、自身の引退試合へ向けた視察という意味合いも込め、川崎のレジェンドである中村憲剛氏が福島の練習場を訪れていたのだ。

 中村氏と言えば、川崎で培ってきた、止める・蹴るを高次元で表現できるのが真骨頂である。その技術力の高さに選手たちは刺激を受けたようで、関塚テクニカルダイレクターもかつての教え子の突撃訪問に「チームの基準をさらに引き上げてくれた」と目を細める。

 また沼津戦でゴールを挙げたのが、中村氏が川崎アカデミー時代などにアドバイスを送っていた大関、松長根だった点も印象深い。

 特にプレースタイルも似ている大関は、憧れの先輩の代名詞である14番を福島で着用。「もちろん刺激をもらいました。すべての技術を改めて『しっかりやるように』と言葉をもらいました」と振り返る。

 また松長根も「さらに成長した姿を見せられるように」と意気込んだ。

 寺田監督も「でも自分が来た直後の試合結果をケンゴが一番ハラハラして見ていたんじゃない」と冗談交じりに感謝を口にする。

 クラブ一丸で掴んだ沼津戦の勝利の背景には、川崎のレジェンドからの後押しもあったようだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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