【MotoGP】エスパルガロの全力マルティン援護にバスティアニーニ「敬意抱けない」と批判。しかし皮肉で反撃受ける

 MotoGP最終戦ソリダリティGPの決勝レース中の走りを巡り、エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)が批判を展開すると、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)が皮肉でそれに応えた。

 最終戦ソリダリティGP決勝はホルヘ・マルティン(プラマック)とフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)によるタイトル争いにいよいよ決着のつくレースだったが、このレース中のライバルの行動に、バスティアニーニは不満を持っている。

 バスティアニーニは8番グリッドながらも好スタートを切って、1周目に3番手まで浮上した。しかしランキング3位を僅差で争うマルク・マルケス(グレシーニ)には先行されてしまっている状況にあった。

 前を追いたいバスティアニーニだが、彼はここから泥沼のバトルに引きずり込まれる。引退レースのアレイシ・エスパルガロに追い抜かれてしまったあと、エスパルガロのディフェンスを攻略できないうちにラップを浪費してしまったのだ。

 最終的にバスティアニーニは激しいバトルの中でミスを犯しコースオフをしたため大きくポジションをダウンし、そこから挽回しようとしたものの7位が限界。マルケスが2位フィニッシュしたため、年間ランキングでは逆転され4位となり、ドゥカティからボーナスは獲得できなかった。

 またエスパルガロはその後アレックス・マルケス(グレシーニ)にも迫られたが、これも鬼気迫るディフェンスで長時間退け続け、アレックス・マルケスに3番手を走るマルティンを追うチャンスを与えなかった。

 結果的にランキング3位を失うきっかけとなったエスパルガロとのバトルに、バスティアニーニは不満を感じている。エスパルガロはタイトル争いをしていたマルティンと非常に親しいため、3番手を走るマルティンが追いついたライダーとクラッシュするといった万が一の事態を防ごうと後方支援的なディフェンスに専念したと考えているのだ。

 エスパルガロとマルティンはチームもバイクのメーカーも異なっているが、近所に住んでいてトレーニングも一緒に行ない、マネージャーも同じ人物であるなど、非常に親しい関係にある。エスパルガロにしてみれば、自分の表彰台を犠牲にしても、マルティンが世界チャンピオンに輝けば、満足できるというのは考えられることだ。

「彼の振る舞いには敬意を示せないよ」と、バスティアニーニはエスパルガロの走りについて語った。

「これは彼のラストレースで、そこで彼はもっと良い結果、表彰台だって達成できたかもしれないんだ。だからこそ、僕はそう感じてしまう」

「ホルヘと彼の間には素晴らしい友情があることは、僕も知っている。でも彼は他のライダーのキャリアも台無しにした」

「僕らのチャンピオンシップにおいて、起きるべきではないことがあるんだ」

 一方、バスティアニーニのこうした発言に対して、エスパルガロは冷ややかに反応している。

「僕はラストラップにエネアが表彰台を争っていると予想していたんだけど、そうはならなかった。ドゥカティの最新型バイクに乗っていたけど、3秒後ろにいたせいでね」

 エスパルガロはそう語り、さらにマルティンへの援護をできて満足だと話した。

「ホルヘが直面していた危機に関わっているのは、僕だけだった。そして僕は誰もここは通さないと決めたんだ。親友が世界チャンピオンになることを手助けできてとても嬉しいよ。ホルヘは“僕たち”がそれを達成したと僕に言ってくれた。彼が僕のことをその一員に含めてくれて、とても嬉しいね」

 なおマルティンはアレイシについて「彼は僕のチームの一員で、仲間のひとりだ」とためらうこと無く語っている。

 エスパルガロはソリダリティGPを最後にMotoGPの現役を引退。2025年シーズンからはホンダのテストライダーに就任することが決まっている。