vistlipが11月15日、東京・渋谷WWW Xにて瑠伊(B)のバースデーライブ<Devil’s LINE[NERO]-Black Outfit Only->を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
バースデーライブのように特定のメンバーをフィーチャーした公演は、主役たるメンバーがステージをプロデュースすることが通例だ。もちろんこの日も瑠伊主導のもとにセットリストが組まれたり、“黒いアイテムを身に着けてほしい”というドレスコードが設定されていた。加えて、“Devil’s LINE”と銘打ったライブが今回で6回目となることから、“ヨハネの黙示録”に準えて“NERO”というワードもプラスしたという。ちなみに、“666”は不吉な数字と言われるが同ライブも今回“6”まで到達したことで、「今回がファイナル」という驚きの宣言も。これをきっかけに、メンバー同士で「Devilに変わってAngelになるのか!?」とトークに花を咲かせる場面もあったが、今後の展開やいかに。
ライブは、暗転した場内に響く「Devil’s whisper」のイントロに乗せて、メンバーがステージへ颯爽と姿を現した。智(Vo)が流れるように歌い出し、そこへ瑠伊のベースが重なっていく冒頭がバースデーライブにマッチするなどニュートラルな幕開けだ。一連のシーンが厳粛さを帯びて、呼吸するように音楽を奏でるかのごとく、自然体にそこはかとない美しさを放っていた。
続く「COLD CASE」でそこに躍動感をプラス。えげつない歪みを効かせたベースソロがキーポイントとなった「EGOIST」、「BAKE」では冒頭に智が「暴れる準備、できてんだろ!?」と扇動したことを受けてハンドクラップやヘッドバンギングなど、みるみるうちにアグレッシヴな情景が広がっていく。しかし、ただ単に熱を上げていくだけでなく、時おり影を落とすダークさや、“Black Outfit Only”に相応しいシックな装い、露骨なロックサウンドがピタリとハマる男らしさがある。貫禄をもったオーラも備わっていたのだ。
「<Devil’s LINE>へようこそ! そして、vistlipの大切なベーシスト瑠伊、お誕生日おめでとう」と智が挨拶と瑠伊への祝福を伝えた。「さぁみんな、祭りが始まったぜ!」とファニーに続けたのに対して、“本日の主役”である瑠伊は「何歳になっても嬉しいね」と喜びの一言でお返し。そして、ライブ進行の主導権を握ることになった主役の瑠伊が、「夢の世界へ」と決まり文句の曲振りをした「BGM「METAFICTION」」が異空間を思わせる浮遊感を生み出した。さらにYuh(G)のリードギターが心地よいメロウな「Locoism」、「零」「flash back blanky」といったベースが主張するセクションを交えた楽曲へ。攻撃性と粒立ちのよいグルーヴはクールで渋さすら含んでいるようだ。ちなみに「零」の演奏時、実はド頭のベースの音が出なかったというアクシデントも。その直後のMCセクションでは冒頭部のみ“ベース爆上げバージョン”を披露するなど、トラブルを盛り上げに転化させるあたりはさすが。
ライブも中盤、Yuhのギターカッティングに瑠伊のスラップが絡む「ELIZA」がファンクの高揚感を演出し、「LAYOUT」では一変して深部へと潜るような世界観へ空気感を一変させる。ポジティヴな「Evil Rider」を経て、海(G)のアコースティックギターがナチュラルな優しさに包み込んだ「アンサンブル」など、どれも“陽”といえる要素を含んでいながら、表現の振り幅は多種多様だ。
「可能な限り“黒”を選んだ」と海がチョコレートケーキを持って登場すると、「バースデーソング」で瑠伊をお祝いする場面へ。そして、「Which-Hunt」がラストスパートへの口火を切り、「俺たちには時間がない。だから、今日という日を刻み込め!」と智がお決まりのキャッチフレーズを披露した「Timer」では、挑発的な仕草でメンバーがフロアへアプローチしながらも、Yuhと瑠伊は背合せに楽しげ。「想い出CG」の熱量は凄まじく、瑠伊がベースイントロをお立ち台で決めた「EVE」は極めつけ。Tohya(Dr)もシンバルを豪快に鳴らしながらハイテンションぶりをアピールした。
瑠伊が前日にSNSで「さぁ、お祭りだ!」と煽っていた同公演は、智が冒頭で語った「さぁみんな、祭りが始まったぜ!」という言葉よろしく、楽器隊の緻密なアレンジが光る高速ナンバー「GLOSTER IMAGE」で最高潮を迎え、vistlipらしい狂乱のうちに本編を締めくくった。
アンコールに応えてメンバーが登場すると、Yuhから「今年度の抱負」を振られた瑠伊は、「最近、大人を意識してて。“大人っぽくなった”とも最近は言われるし、それをどんどん構築していきたいな。よりアダルトに!」と答えた。実際、この日のライブの印象はまさに“大人びたvistlip”でもあったと思う。
ライブ本編で瑠伊が、この夜のセットリストについて「単純に最近やってないなっていう曲から、やりたいと思った曲、好きな曲をただ並べただけ。あと、デビルっぽいやつ!」と話していた。理由としては一聴すると薄く思えるも、セレクトされた楽曲を軸に進行したライブは、登場シーンをはじめ、メロディアスな楽曲、ヘヴィに暴れる場面にも、地に足が付いた雰囲気があった。瑠伊が意識しているという“大人”を自然に体感できていたのではないか。
そして、繊細なナンバー「Re:明日晴れたら」に続いて、瑠伊が煽りをかましてラストへ…と思いきや、「今日は王様だから、俺が決める!」と言い出した瑠伊。すぐさまYuhが「大人、どこ行ったよ?(笑)」と突っ込むというやり取りには、隠しきれない茶目っ気が滲み出てしまうようだ。「海、やりなさい!」と指名された海が「最後、盛大に祝ってやれよ!」とオーディエンスを煽り、キラーチューン「HEART ch.」が演奏されるなど、<Devil’s LINE[NERO]-Black Outfit Only->は最後の最後までアッパーに攻め立てた。その去り際には“Tohyaのお祝いタイム”として、瑠伊と2人で「るいるい、おめでとーや、お疲れヤンマー!」のコール&レスポンスでハートフルにエンディングを迎えたのだった。
vistlipは2025年1月8日に2年10ヶ月ぶりのアルバム『THESEUS』をリリースするほか、同年1月には東名阪をまわるワンマンツアー<Ship of Theseus>の開催が発表となっている。また、この日のライブ後には新ヴィジュアルとアルバムのジャケットが初公開された。
取材・文◎平井綾子
■<vistlip Devil’s LINE[NERO] -Black Outfit Only->2024年11月15日(金)@東京・渋谷WWW X セットリスト
01. Devil’s whisper
02. COLD CASE
03. EGOIST
04. BAKE
05. BGM「METAFICTION」
06. Locoism
07. 零
08. flash back blanky
09. ELIZA
10. LAYOUT
11. Evil Rider
12. アンサンブル
13. Which-Hunt
14. Timer
15. 想い出CG
16. EVE
17. GLOSTER IMAGE
encore
en1. Re:明日晴れたら
en2. HEART ch.
■アルバム『THESEUS』
2025年1月8日リリース
【完全生産限定盤 ※FC会員限定盤(2CD+Blu-ray)】
DCCA-134~136 16,500円(税込)
・配信楽曲「DIGEST -Independent Blue Film-」「Invisible」を収録した特典CD
・2024年7月7日開催<vistlip 17th Anniversary LIVE[Periodical Cicada]>を完全収録した特典Blu-ray
・ブックレット&スリーブケース仕様
・トレーディングカード(全10種ランダム)
※V.I.P. LiST / MEMBERS LiST 会員限定ページより購入可能
FC入会:https://www.vistlip.com/pages/fanclub-all
・V.I.P. LiST 特典:実写アクリルスタンド(集合)
・MEMBERS LiST 特典:卓上カレンダー
【vister ※一般流通盤(CD+DVD)】
DCCA-137~138 4,620円(税込)
・特典DVD
・トレーディングカード(全10種ランダム)
【lipper ※一般流通盤(CD)】
DCCA-139 3,850円(税込)
・トレーディングカード(全10種ランダム)
■<V.I.P. LiST Limited Live>
12月19日(木) 東京・池袋EDGE
▼チケット
前売 6,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※11月23日(土)12:00よりチケットプレオーダー開始
https://www.vistlip.com/posts/ticket/iubhqp
■<vistlip ONE MAN TOUR 2025>
▼2025年
1月11日(土) 愛知・名古屋ElectricLadyLand
1月12日(日) 大阪・BIG CAT
1月18日(土) 東京・Zepp Shinjuku
▼チケット
前売 6,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要