マンガのなかには過激な描写や大人向けの内容が多く、アニメ化にあたって地上波での放送が難しいのではないかと心配される作品もあります。しかし、規制さえ受けながらも、アニメ化に成功した例も少なくありません。
「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1」DVD(ジェネオン・ユニバーサル)
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アニメ化したけど「観られない」部分だらけ?
マンガに登場するグロテスクなシーンやお色気シーンは、アニメ化されることになると「地上波放送できるのか」と、話題になることがあります。なかには、地上波放送に踏み切ったものの、多くの規制が加えられた作品もありました。
たとえば、「コミックヴァルキリー」で連載中の『フリージング』は、グロテスクな描写や性描写が多くありながらもアニメ化され、2011年に第1期、2013年に第2期が放送されました。
本作は、人類を襲う「異次元体」に対抗できる「パンドラ」と、そのパートナー「リミッター」を育成する学園が舞台です。主人公の「アオイ=カズヤ」は学園へ転入し、接触禁止の女王と呼ばれる「サテライザー=エル=ブリジット」とパートナーになります。サテライザーは学園内でも敵が多く、たびたびほかのパンドラと衝突して戦いを繰り広げました。
パンドラは脅威的な回復力を持ち、戦闘シーンでは腕が千切れたり首を斬られたりといった過激な描写が相次ぎます。また、性描写も多く、ヒロインの裸体が惜しみなく描かれたり、ヒロインが上級生に虐げられて下着をさらされたりもしました。
当然というべきか、地上波放送では多くのシーンに黒塗りや白い光の規制が入り、「ヒロインがどんな姿なのか分からなかったシーンもある」といわれるほどの制限もありました。視聴者からは「白い規制ばかりで温泉街でロケしてるのかと思った」「規制の入り方にいつも吹いちゃう」といった意見も見られ、ある種、規制も込みで楽しめるアニメでもあります。
過激な描写が話題のアニメといえば、『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』も有名です。原作は「月刊ドラゴンエイジ」(KADOKAWA)で連載され、当時の看板作品とされるほどの人気を集めました。
主人公「小室孝」やヒロインたちは、ある日突然現れたゾンビのような「奴ら」と戦いながら過酷な世界を生き抜いていきます。「奴ら」に人間が襲われて血が吹き出すシーンや、ヒロインたちの入浴シーンやパンチラといった過激描写も満載な作品です。
放送前からファンに「地上波でやれるのか」と心配されていた通り、本編にはいくつか修正や規制が入りました。特に「テレビ愛知」の規制は厳しく、画面が真っ黒になる場面もあり、ファンからは「テレビ愛知さんの圧倒的規制力」「放送事故レベルの規制」といった声が出ています。
また、「チャンピオンRED」(秋田書店)で連載された同題マンガ原作の『聖痕のクェイサー』は欠かせません。元素を操る「クェイサー」たちが、学園に秘められた「聖像(イコン)」を巡って戦いを繰り広げる物語です。
もともと原作は「アニメ化不可能な表現」をコンセプトに描かれており、過激な性描写も含まれています。クェイサーたちは「生神女(マリア)」と呼ばれる女性から、授乳によって得る「聖乳(ソーマ)」をエネルギー源とする設定もあり、アニメ放送の可否が注目されていました。
いざ放送が始まると、やはり不自然なカットや静止画などで多くの規制が入り、視聴者からは「何が起こってるのか全く分からなかった」「放送できたことに感激」「これを地上波放送した心意気に惚れた」と、不満の意見と放送できたこと自体に感謝する声などが相次ぎました。