森保ジャパンは現地時間11月19日、北中米ワールドカップ・アジア最終予選で、中国代表と敵地で対戦する。その前日に決戦の舞台、廈門白鷺スタジアムで会見が開かれ、森保一監督とキャプテンの遠藤航が出席した。
多くの中国メディアも駆けつけ、早くも熱気で溢れていたなか、30分の会見内で印象的な場面があった。最後の質問が飛んだ際の出来事だ。
まず問いは、「インドネシア戦では中々出番がなかった選手にもチャンスが回って来て、結果も出した。監督には出番がなかった選手にチャンスを与えた意図、遠藤選手には選手層の厚さや、選手として感じたことを教えてほしい」というもの。
これに対して、森保監督は「常に招集した選手全員が戦力だと伝えている。選手にとっては全く満足できない出場時間だと思うが、信頼という意味で選手に伝えられればと思うし、まだまだ起用されていない選手にも『自分たちにはチャンスがある』と感じてもらえれば嬉しい」と回答。そのうえで、「質問と違うかもしれないが」と自ら切り出し、こう語ったのだ。
「(菅原)由勢が得点した時に、出場機会を得られない選手たちの努力をチーム全体で分かっていて、そこから結果を出したことにみんなで喜ぶシーンは、監督として非常に嬉しいシーンだった」
【画像】日本代表が試合会場の廈門白鷺スタジアムで最終調整
そして遠藤も「個人的にも出れていない選手たちが出場機会を得て、結果を残すのは非常に嬉しい」と同様の考えを伝えた。
「ただ点を取ったとかアシストしたとかではなくて、彼らが普段悔しい思いをしながら、しっかり毎試合準備をしているところを見ているからこそ、キャプテンとしてもすごく誇らしいチームになっているなと思う。今の代表チームは、個性はかなり強いけど、誰1人として自分のためにプレーする人はいなくて、みんながチームためにプレーする覚悟を持ってここに来ている。
間違いなく11人でプレーできるわけではない。出れない選手や途中交代で入った選手、それは前回のインドネシア戦だけではなくて、今までもそうやって結果を残す選手はかなり多い。そういった選手たちの力は間違いなく必要だし、今のチームが強い要因は、スタメンで出ようが出れまいが、チームのためにやる選手たちがいること。そこが全て」
菅原は森保ジャパンで一時定位置を掴んでいたが、3バックの採用に伴い控えに降格した。それでもひたむきに努力を続け、11月15日のインドネシア戦で最終予選初出場を果たすと、勝利を決定づける4点目をマーク。その瞬間、ベンチメンバーを含め、チームメイトが次々と駆け寄り、喜びを分かち合った。
努力が実を結んだ瞬間に、指揮官と主将も強い感動を覚えたようだ。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
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