北中米ワールドカップのアジア最終予選を戦う森保ジャパンのメンバーは、ある程度固定され、入れ替わりは多くない。
そのなかで大橋祐紀は、イングランド2部ブラックバーンでの活躍が評価され、先月に28歳にして初招集を受け、11月15日のインドネシア戦で初出場を果たした。
見せ場もあった。途中出場直後の84分に裏に抜け出し、決定機を迎えたが、GKのセーブに阻まれ、いきなり初ゴールとはならず。その後、オフサイドの笛も鳴ったものの、かなり際どい判定で、決めていれば、VAR検証の末に得点が認められていた可能性は低くない。
それから数日。ジャカルタから、19日に行なわれる中国戦の舞台、廈門に移動して取材に応じた大橋は、デビュー戦を改めてこう振り返った。
「シュートまで行けるシーンと引き出せるシーンもあったなかで、もっともっと点を取れる、怖いストライカーになっていきたいなと思います。そのなかでもちろん、この最終予選でチームが勝つことが第一なので、そこに力になれるようにやりたいです。
入りの部分でもっと余裕を持ってできれば良かったですが、それは徐々に…。一歩一歩、試合でしっかり出せるようにしていきたいです」
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代表活動への参加は今回で二度目。「コミュニケーションを取る時間は増えている」ようだ。
「自分は前目のポジションですけど、やっぱり1人では点を取れない。パサーがいて、チームがあって、点が取れるポジション。そういった自分の特長や要求はしてきているつもりなので、そこは出せればいいかなと思います」
様々なチームメイトとコミュニケーションを取るなかで、特に中央大の2学年上の先輩、古橋亨梧から教えを受けているという。
「今回は大学の先輩である亨梧君に。同じフォワードでもありますし、色々なことを聞きながら、色々勉強させてもらっています」
現在28歳の大橋は、2019年に中央大から湘南ベルマーレに加入した後、今年1月にサンフレッチェ広島、そして7月にブラックバーンに移籍した。初の海外挑戦を果たすと、リーグ開幕5試合で4ゴールとド派手なスタートを切った。
「最初、入り良い形で点を取れました。ただ、相手の身長はボランチも190を超えていたり、大きい、フィジカルが強い選手が多く、サッカーもやっぱり日本とは違います。色んなサッカーの歴史も、サポーターの圧も違うなかで、内容はどんどん最初の時より良くなっていると思うので、続けて、内容もゴールもしっかり取れるようにしていきたいです」
私生活の面も順調だが、英語力は改善の余地がある。
「最初は日本にあってないものとかは色々ありましたけど、本当チームメイトも優しいですし、サポートしてもらっているので、特に不自由さは現時点では感じてないです。英語はちょっと全然勉強してないので、勉強しないとなと思っています」
2024年はプロキャリア初を含めた2つの移籍に加え、日本代表デビューと、かつてないほどチャレンジングで、濃密な1年になっている。柔和な表情が特徴的な大橋は最後に、「新しい環境への適応」について伝えるうえで、こんな考えを明かした。
「サッカーって良いスポーツだなと。ボール1個でみんな仲良くなれますし、コミュニケーションを取って、みんなが同じ方向に向かっていけるので、新しい環境は特に意識はしていません。みんなゴールを取って勝ちたいがためにやっているので、そこに自分を出しながら、周りと協調しながらって感じです。
環境を移せる、チャレンジできるのは本当に感謝ですし、日本代表のエンブレムを背負えることは本当に誇りです。感謝して、ピッチで示したいなと常に思っています」
20代後半のタイミングで急速にキャリアアップしているストライカーは、自身をさらに上のレベルに持って行けるか。主力としてブラックバーンの昇格に貢献し、来季は世界最高峰のプレミアリーグでプレーする姿も期待したい。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
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