乳がんは9人に1人の女性がかかる病気です!
国立がん研究センターが2020年に発表した「最新がん統計」によると、日本人女性が生涯で乳がんにかかる確率は10.6%。9人に1人の女性が乳がんにかかる可能性があるわけです。20年ほど前は18〜20人に1人だといわれていたため、単純計算で約2倍になったことがわかります。患者数が増えた理由は明らかになっていませんが、ライフスタイルの欧米化が一因だと考えられています。
上のグラフからわかるように、乳がんにかかるのは40歳以降が多く、20代といった若年層で乳がんになるのは5%以下。だからといってアラサー世代は無関係だとはいえません。乳がんは日本人女性がかかるがんで最も数が多いため、わずか5%の罹患率であっても、かかる人数はゼロではありません。だから、「私は大丈夫」と他人事ではいられないのです。
そもそも乳がんとは、乳房の中にある乳腺という臓器にできる悪性腫瘍のこと。乳腺は主に、母乳をつくる小葉と、つくられた母乳を乳頭まで運ぶ乳管から構成されています。乳がんのほとんどは乳管で発生するため、乳がんといえば「乳管がん」であることが大半。乳管などで発生したわずかながん細胞は徐々に増殖し、2cmほどの大きさになると、触れるとしこりとしてわかるようになります。片方の胸にだけにコリコリとした手触りの塊を見つけたり、肌表面近くに塊があることに違和感を覚え、検査を受けてがんが発覚する人もいるようです。
ただ、触れられるくらいの大きさに育つまでには、個人差がありますが7〜8年もかかるといわれています。しこり以外の自覚症状としては、乳頭から出血したり、しこりの場所によっては痛みを感じることも。初期段階では症状に気づきにくい病気のため、発見されるまでの間にがん細胞が血液やリンパの流れに乗って他の場所に転移する可能性もあります。
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早期であっても乳房切開の手術は避けられない!
乳がんの進行度は乳房内での広がり具合やリンパ節や他の臓器への転移の有無によって、0期(ステージ0)からⅣ期(ステージ4)の5段階に分類されますが、現状の標準治療ではたとえ0期の早期であっても手術は避けられず、手術では乳房を切開し、がん細胞のある乳腺を摘出します。がんを早期に発見できれば部分切除だけですみ、手術を受けても乳房の形をキープできますが、がんが進行している場合は乳房を全摘出するだけでなく、リンパ節などまで取り除く必要も。がんを取り除いたあと、希望があれば手術で乳房を再建することも可能です。再建手術には、シリコン製の人工乳房を使う場合と、本人の組織を移植するケースがあります。