【セルジオ越後】中国相手に流れのなかで1点しか取れなかった。物足りないね。攻撃の“指揮者”がいなければそうなるよ【W杯最終予選】

 日本代表が北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第6戦で、中国代表と敵地で対戦。39分に小川の得点で先制すると、45+6分には板倉が加点。48分に1点を返されたけど、54分に小川が追加点を決めて3-1で快勝した。

 森保ジャパンは前半、苦戦しているように見えたかもしれない。たしかに、中国はホームの大歓声を背に気合が入っていて、守備ではしっかりと身体を張れていた。でも、決定的なチャンスは作れていなかったし、ペースは日本が握っていて実力差は明白だった。

 1失点したけど、これは日本が前掛かりになった隙を突かれたから。守備を崩されたわけではないので、課題は残ったけど相手に質で上回られたわけではない。

 地力が上なのになかなか先制できなかったのは、守田の不在が大きかったと思う。攻撃の“指揮者”とも言える彼がいなかったからか、どこかスムーズさを欠いた印象だ。サイドからの攻めに活路を見出したかったけど、ウイングバックで先発した伊東と中村は本領を発揮できていないように映った。

 3得点のうち、1点目と2点目はコーナーキックから。今回の中国相手に、流れの中から1点しか取れなかったのは、物足りなかった。それでも問題なく勝てたのは、相手が世界レベルではないからだろう。

 今回のPOMは2得点の小川だ。ただ、相手の質を考えると、手放しで称賛するわけにはいかない。いつも言っているけど、レベルの低い相手と対戦すれば、日本の選手が上手だと錯覚する。これは勘違いに繋がるから、とても危険だ。
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 森保ジャパンの目標は、ワールドカップ本大会での初のベスト16突破だ。そのためには、世界の強豪国を打ち破らなければならない。世界に目を向けると、今回の予選で勘違いするわけにはいかないよ。

 現在ヨーロッパで行なわれているネーションズリーグを見ていると、とてもレベルが高い。当然、ワールドカップ予選も高水準だ。南米では、強豪国も含めた総当たりで過酷な予選が行なわれている。

 一方、日本はイランやカタール、韓国などアジアのライバルとは対戦せずに予選を戦っている。欧州や南米と比べてある意味、イージーと言える。

 次回は来年の3月。ここでワールドカップ本大会の出場を決めて、早めに世界の強豪国との戦いに備えてほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、79歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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