ラファエル・ナダル、デビスカップで敗れ現役生活に別れ...「全力は出し切れた。心から感謝しています」<SMASH>

 男子テニス国別対抗戦「デビスカップ・ファイナルズ・ノックアウトステージ」(11月19日~24日/スペイン・マラガ/ハードコート)は初日の現地19日に準々決勝を実施。今大会で現役引退のラファエル・ナダル(元世界ランク1位/現154位)を擁するスペインはオランダと対戦したが、1勝2敗で敗退となり準決勝進出を逃した。そしてこの結果ナダルの約23年にもわたる栄光のキャリアに幕が下ろされた。

 度重なるケガに悩まされてきた38歳のナダルは、先月初めに自身のSNSに投稿した動画を通じ、今季限りでの現役引退を正式に発表。キャリア最後の大会として、デビスカップで代表チームと共に戦うことを選んだ。

 今夏のパリ五輪以降1度も公式戦でプレーしていなかったこともありデビスカップへの出場も危ぶまれていたナダルだったが、予定通りシングルス第1試合に登場し、ボティック・ファンデザンツフープ(80位)と対戦。粘りを見せるも4-6、4-6で敗れ、スペインは0勝1敗と後がなくなる。それでも第2試合では後輩のカルロス・アルカラス(3位)がタロン・フリークスポール(40位)に7-6(0)、6-3で意地の勝利。1勝1敗に持ち込み、勝負の行方はダブルスに委ねられた。
  最終試合のダブルスではアルカラスとマルセル・グラノラーズ(複元1位/現4位)がタッグを組み、ナダルと同じく今大会での引退を表明している38歳のウェスリー・クールホフ(複元1位/現8位)とファンデザンツフープのペアと対戦。残念ながら6-7(4)、6-7(3)で競り負け、スペインチームの敗退が決定した。

 これにて現役ラストマッチを終えたナダル。試合後に特別に挙行された引退セレモニーでは、改めて苦渋の決断を下した経緯を簡潔に語るとともに、自身を温かく支え続けてくれた身近な人々への感謝の言葉を涙ながらに口にした。

「皆さん今日はありがとう。約20年のキャリアで、皆さんは本当に良い時も悪い時も僕が戦い続けることを後押ししてくれました。皆さんと一緒にこの世界で生きてこられたこと、そして特にここスペインでファンの皆さんが私に愛情を注いでくれたことを本当に幸せに思っています」
 「そしてスペインチームのみんなには、再びこの舞台で僕にプレーさせてくれたことをはじめ、心から感謝しています。もっとチームに貢献したかったですし、全員が望んでいた結果にはなりませんでしたが、全力は出し切れたと思います。プロ選手としての最後の日々をここで過ごす機会を作ってくれたチームにありがとうと言いたいです。

 国を代表して、ここにいる多くの人々と一緒に時を過ごしましたが、それは僕にとって信じられない経験でしたし、特別なことでした。その瞬間を楽しめましたし、たくさんの喜ばしい瞬間もみんなと一緒に経験できました。おそらくみんなには今後もそういう瞬間が来ると思います。本当にありがとう。

 誰しもこの瞬間(引退)を迎えたいとは思わないはずですし、自分もプレーすることに疲れ果てたとか、そういうわけではありません。ただシンプルに身体が“もうプレーを続けたくない”と言っているのです。そういう状況を受け入れなければなりません。僕にとってはこれまでのこと全てが特別でした。これからもテニスは趣味として続けるでしょうし、キャリア自体も想像していたよりずっと長くなりました」
 「ここ数年は忘れられない日々を過ごす中で常に皆さんがいてくれました。私は自分を愛してくれる人々、そしてそばにいて自分の人生を良くしてくれる人々との関係をずっと保ちたいと思うタイプの人間です。できる限り大きな変化を加えずチームや家族との関係を保つことは自分がキャリアを通じてやってきたことでしたし、それがプロとしての範囲をはるかに超え、色々な人と個人的に非常に良好な関係を築くことにつながりました。ですから、皆さんの存在がなくてはこのような終わり方はあり得ませんでした。改めて心から感謝しています」

 男子選手歴代2位の四大大会22勝(うち全仏14勝)を含むツアー92勝を挙げ、“生涯ゴールデンスラム”(四大大会と五輪制覇)の偉業も達成するなど、数々の輝かしい功績を残したナダルのガッツあふれるプレーがもう見られない…その事実を受け入れることは本当に難しいが、いずれはまたテニスコートでボールを打つ姿を見せてほしいものである。これから始まる“赤土の王者”のセカンドキャリアが幸多きものになることを願うばかりだ。

文●中村光佑

【動画】ナダルの現役ラストマッチ!「デ杯」ファンデザンツフープ戦のハイライトと、オンコートでの引退スピーチ

【画像】ナダルはじめ、パリオリンピックで躍動した男子選手の厳選ショット!

【関連記事】デ杯での現役最後の試合に臨むナダルが意気込み!「この1週間はどんな形であれ楽しみたい」<SMASH>