「愛する人にNOと言える勇気」「自分を見失わないことが大事」映画ファンが“ふたりで終わらせる”の意味に感動した理由は?

大人気恋愛小説を映画化し、世界中で大ヒットを記録している『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』(11月22日公開)。この話題作の試写会をMOVIE WALKER PRESSで実施したところ、ひと足先に鑑賞した映画ファンからは、

「すばらしかったです。とてもせつなくて悲しいけど主人公の強さに勇気をもらえていろいろ考えさせられました。すべての人に観てほしい作品です」(20代・女性)
「原作を読んでいたので映画化されると知ってからずっと楽しみにしていました。感想としては大満足です!原作ファンの方にもおすすめできると思いました!」(30代・女性)

といった熱のこもったメッセージが寄せられている。「心揺さぶれた」「勇気をもらえた」など観客の心を震わせる本作の魅力を、アンケートに寄せられたコメントと共にひも解いていく。

■女性の再生を前向きに描く、全世界で大ヒットを記録したヒューマンドラマ

全世界で発行部数約1,000万部を記録し、2022年にアメリカで最も売れたコリーン・フーヴァーの恋愛小説「イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる」を映画化し、全世界で3億ドルを超える興収を叩きだす大ヒットとなっている本作は、つらい過去と決別し、自分の道を新たに歩んでいく女性の再生を描くヒューマンドラマ。


監督&ライル役のジャスティン・バルドーニ(写真右)と、原作者のコリーン・フーヴァー(同左)
花屋を開くため、ボストンにやってきたリリー(ブレイク・ライブリー)は、セクシーな脳外科医のライル(ジャスティン・バルドーニ)と出会い、情熱的な恋に落ちる。幸せな日々を送る2人だったが、かつての恋人であるアトラス(ブランドン・スクレナー)との再会をきっかけに、ライルの愛は望まぬ形でエスカレートし、封印していたリリーの過去の記憶を呼び起こしてしまう。絶望の淵に突き落とされたリリーだったが、未来を掴むためにある決断をする。

「最後の最後まで展開が予想できず、タイトルの“US”とは誰と誰のことなのだろうと考えながら、ずっと引き込まれました。主人公の強い決意には心打たれました」(40代・女性)
「自分の境遇と似ているところがたくさんあったので、いま自分のしていることは間違いじゃなくて始まるために終わらせたんだなと勇気をもらえた」(30代・女性)
「主人公リリーが苦しみながらも自分の進む道を構築していく姿を、応援する気持ちで観ていました。単なるロマンス映画に留まらず、強いメッセージを感じ、惹きつけられました」(30代・女性)
「セリフが坂本裕二作品のようなささやかな幸せが詰まった会話劇だった。内容に無駄がなく自然で回収もきれいなので鑑賞後の余韻は、暴力を扱っているのにいい意味でカラッと爽やかな印象でした」(20代・女性)

上記の率直な感想からもわかるように、“愛する人からの暴力”という重みがある題材を扱いつつも、再び立ち上がろうとする女性の姿を前向きに描くポジティブなストーリーは、多くの観客の心に刺さったようだ。

■ブレイク・ライブリーが体現したリリーという等身大の女性

そんな本作で主演を務めるのがブレイク・ライブリー。「道を見失ってまた見つける。そんなリリーの姿を見せることで、自分はひとりぼっちだと感じている人々の孤独を少しでも軽減できたらいいなと思いました」と原作に共鳴した理由を語る彼女は、主演に加え、製作も兼任するほど本作に入れ込んでいる。


【写真を見る】「ゴシップガール」スタッフが手掛けるファッションにも注目!“憧れの人”ブレイク・ライブリーが体現した強くも繊細な女性像
ライブリーといえば、飛躍のきっかけとなったドラマ「ゴシップガール」などで”憧れの女性”というイメージが定着しているが、本作ではそのイメージを残しつつもトラウマや迷いが同居する人間味のある女性を表現。強さと弱さを抱える等身大なキャラクター像だからこそ、多くの観客を勇気づけている。

「トラウマを抱えながらも自分の夢に向かっていっているところや強い心を持っているところがすごいと思った」(30代・女性)
「一見すると勝ち気で気が強そうな女性ですが、とても繊細な心を持っている方だと感じました。しかしそのなかに芯の強さを持っていて、トラウマと向き合う姿に感銘を受けました」(20代・男性)
「朗らかで明るい笑顔の奥につらい経験を抱いて生きている女性で、同性として魅力的でした。こんな女性と痛みを分け合って生きていけたら、自分も強くいられそうです」(30代・女性)

未来のために一歩踏みだす女性の勇気を真っ直ぐなまなざしで体現したライブリーの魂の演技にもたくさんの称賛の声が届いていた。

「華やかさと地に足がついているキャラクターがとても合っていた」(40代・女性)
「笑顔でチャーミングな性格の裏側には暴力へのトラウマや忘れられない思い出があって、そういうのを全部ひっくるめたブレイクの演技がすごくよかった」(30代・女性)
「『ゴシップガール』の時の雰囲気そのままのようなファッショナブルで明るくハツラツとした姿が、さらにカッコよくアップデートされた女性になられたなと思いました」(40代・女性)

■物語に深みをもたらす複雑な内面を抱えたキャラクターたち

そんなリリーに加え、脇を固めるキャラクターも複雑な人物ばかりで物語に奥行きと真実味をもたらしている。例えば、人当たりのいい魅力的な性格でリリーへ猛烈なアプローチし続け、しだいに彼女を支配していくライルも実は重いトラウマを抱えた人物。単なる悪役ではない誠実な描き方が印象的で、観客の目にも1人の人間として映ったようだ。


セクシーな脳外科医のライルだが、しだいに本性が明らかになり…
「突き放された形に見えるが誇張された悪ではなく、ちゃんと背景を持った1人の人間として描かれていた」(40代・男性)
「とっても魅力的だけど過去の悲しみや傷が癒えずに苦しんでいる人」(30代・女性)
「完璧な人なんていないと思った。幼少期の出来事がどれだけ心に残るのか、リリーによって開かれようとした心。癒されていい人になってほしい」(30代・女性)
「暗い過去に苦しむ一面と、高圧的な態度や行動と、どちらも内面を感じる演技が印象的だった」(40代・男性)


ジェニー・スレイトが演じた親友のアリッサはリリーを支える重要なキャラクターだ
そんなライルの妹であり、リリーの親友のアリッサ(ジェニー・スレイト)は、オープン前のリリーの店に押しかけて働き始めるような強引さを持ち、自分の欲望に忠実だが、実は思いやりに満ちた寛大な人物。兄の知られざる一面にショックを受けながらも、親友としてリリーの決断をあと押しする人柄は「こんな友だちがほしい」「彼女のようになりたい」と大人気。

「とても愛のある人だと思った。この人が主人公たちのそばにいたことが救いだと感じた」(20代・女性)
「周囲の人たちを深く気遣いながら自分もしっかりと人生を楽しんでいて、ファッションにも彼女らしさがあってもう大好きです。傷ついた人と接する時だけでなく、常にアリッサのようにありたいと思いました」(20代・女性)
「あたたかくて正直でチャーミングな人。リリーの選択をあと押ししてくれたのも彼女なのかなと思う。すてきな親友」(20代・女性)
「親友としてリリーを一番に考えてくれている気持ちが伝わり、感動した」(40代・女性)


リリーに寄り添うアトラスを演じたのはブランドン・スクレナー
さらに「黙々と自分の人生を歩んでいることがうかがえて、ドシっと構えている感じが安心する。近づいても離れても、変わらない拠り所というのがとても伝わってきました」(30代・女性)、「原作でも感じた包容力の高さをきちんと感じました」(30代・女性)といった原作ファンも納得の、リリーと甘苦い初恋の思い出を共有する男性アトラスまで、いろいろな感情を抱えたキャラクターたちには、熱量の高いコメントが寄せられていた。

■恋人、家族からの暴力…本作に込められた問題提起をどう受け止めた?

そんなキャラクターたちが紡ぐ人間模様が描かれる本作は、前半ではライトな恋愛映画といった雰囲気で進んでいくが、ある点から不穏な空気を帯びだし、“愛する人からの暴力”という現実に蔓延るシリアスな社会問題を浮き彫りにしていく。


ライルからの暴力に怯えながらも一歩踏みだしていくリリーの決断が心を打つ
「ライルの3度目の暴行シーン。火がついてしまったライルをなんとか落ち着かせよう、自分が傷つけられないようにしようとするリリーの様子には、恐怖を抱きながら見入ってしまった」(40代・女性)という描写など、その恐ろしさや暴力がもたらす心の闇がリアルに描かれており、それゆえに「考えさせられた」という感想が数多く寄せられていた。

「とても複雑ですが、いかなる場合でも暴力はよくない。気持ちがあるからこそ許してしまいがちですが、しっかり現実と向き合い考えること、決断すること、もし自分や周りの人が同じ状況になった場合、自分を見失わないことが大事だと思います」(40代・女性)
「愛する人にNOと言える勇気。愛するがゆえに気づけなかったり、我慢しそう」(30代・女性)
「愛の形はたくさんあるけれど、受け取り手がどう思うか、いつもそれを考えながら愛さなければならないと思った」(30代・女性)

■タイトルの意味とは…?リリーの決断に勇気づけられた希望とエール


愛する人からの暴力という社会問題を描く『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』を観客はどう受け止めた?
ライルをもう一度信じるべきか、悩み抜くリリーは、クライマックスでは両親から続く悲しみの連鎖を断ち切るべく、苦しみながらもある決断を下す。せつなくも力強く、前向きなリリーの決意には称賛の声が多く見受けられた。

「至極真っ当な選択だと思う。それでいて簡単な決断ではないので、勇気ある行動だとも思う。周囲にサポートしてくれる人たちがいたのも大きい」(20代・男性)
「耐える苦しさより、面倒でより大変な、愛する人との縁を断ち切る苦しさを選ぶ勇気を持てていた姿がすばらしいと思った」(30代・女性)
「難しい選択だと思いますが、それでも自分で決断して、それを自らの口で伝える勇気がかっこいいなと思いました」(30代・男性)
「リリー自身の強さもありますが、周りからの愛や思いやりを素直に受け止められるのが彼女の魅力だと思います」(20代・女性)
「過去と決別してよりよい未来へ進むための勇気をもらった」(30代・女性)
「パートナーのことを愛していたら許してしまうかもしれない。ただ、自分が許してしまったことで、子どもや周りの人に深い傷を与えるかもしれない。許さない勇気ということもあるのだと知りました」(30代・男性)


ライル役のジャスティン・バルドーニは監督も務めている
映画を観終えて初めて意味が理解できる“ふたりで終わらせる”というタイトルについても、

「”ふたり”とは?と気になっていたので上手く伏線が回収されていて、いいタイトルだと思った」(30代・女性)
「決意の強さを感じられるタイトルだと思う」(40代・男性)
「『ふたりで終わらせる』の”ふたり”が誰かについて、観る前、観ている途中の予想とはまた違って、はっとした」(40代・女性)

という言葉が示しているように、リリーの想いがラストにしっかりと回収され、観る前と観たあとで違う印象を噛みしめられる味わいがある。せつなく苦しくも、勇気づけられる『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』をぜひ劇場で観て、思いを巡らせてみてほしい。

構成・文/サンクレイオ翼