[北中米W杯アジア最終予選]日本 3-1 中国/11月19日/廈門白鷺スタジアム
結果的には3-1で勝ったけど、楽勝とは言えないかな。
中国が思ったよりも手強かったと思う。7-0で圧勝した前回対戦とは違うチームになっていた。多少ラフだけどアグレッシブな守備は整理されていて、日本の攻撃に対してよく耐えていた。
日本は攻めあぐねたけど、それでもゴールをこじ開けることができるから、やっぱり強いよね。しかもセットプレーで2発。久保のCKから小川がヘッドで先制点を挙げれば、伊東のCKを町田がファーに流して板倉が決める。セットプレーの得点は大きいと思う。
後半に1点を返されて、相手が勢いづきそうになったなかで、とどめの一発はまたも小川だ。伊東のクロスにヘッドで合わせる。やっぱりフィニッシュの前のポジショニングだよね。ゴール前に相手がけっこういたけど、その視界から外れるようにすっと動いてフリーになる。完璧だった。
小川は一時、実力はあるのになかなか出番を得られない時期があったけど、横浜FCで復活して、オランダに渡っても活躍して、代表に返り咲いた。今回の11月シリーズは上田が怪我でいないなかで、中国戦で2ゴール、その前のインドネシア戦でも先制点に関与。相手のオウンゴールだったけど、小川がそこに飛び込んだからこそのオウンゴールでもあった。
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上田不在の穴を埋める活躍ぶり。目に見える結果で期待に応えてみせたんだから、凄いと思う。シュートが上手くて、ゴール前でいかにフィニッシュに持ち込むかも身体に染みついている。決定力もあるし、これぞストライカーって感じだよね。
上田とはまた違ったタイプだと思う。上田は“パワー”というか、力強くキープして前線で起点にもなれる一方で、小川はしなやかにボックス内で勝負するイメージだ。
ワールドカップ本番では、どちらがスタメンかを考えると…現時点ではトータル的に上田なのかな。彼だって決定力があるからね。
もっとも、本大会まではまだ時間がある。小川も海外に出て、さらに逞しくなっているし、何よりもゴールを奪うセンスは抜群だ。ここ最近の代表での活躍で自信も深めたはず。さらなる飛躍のきっかけを掴んだと思う。
今後もまた海外で経験を積んでいくだろうし、より進化していくんじゃないかな。上田と切磋琢磨してお互いを高め合えれば理想的だ。その意味では、楽しみでしかたがない。フォワードが日本の絶対的なストロングになればいいね。
【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、52歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。
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