2025年シーズンのWEC(世界耐久選手権)において、新たにメルセデスAMGがグリッドに加わることが発表された。
メルセデスAMGが参戦するのは、LMGT3クラス。イタリアのアイアン・リンクスに2台のAMG GT3を提供する形をとる。
アイアン・リンクスは今季、ランボルギーニ・ウラカンGT3を使用していたが、車両をスイッチすることになる。そしてドライバーについては、ランボルギーニファクトリー陣営からの加入となるマッテオ・クレッソーニと、チームのパートナーであるクラウディオ・スキアボーニがラインアップされることが早くも明らかにされている。
またメルセデスにとっては、1999年以来26年ぶりにル・マン24時間レースへの復帰を果たすことになる。
彼らの最後のル・マンは、忌まわしい記憶と共にある。同年メルセデスCLRでル・マンに臨んだメルセデスだったが、走行中にマシンが宙を舞ってしまうアクシデントが続発し、ピーター・ダンブレックが乗るマシンが林に墜落するという3度目のアクシデントをもって、大会から棄権。耐久レースの最高峰からは長らく姿を消していた。
しかしメルセデスもル・マンへの復帰を強く願っていた。彼らはLM-GTEクラスがLMGT3クラスに改められた昨シーズンに参戦を目指したが、FIAとACO(フランス西部自動車クラブ)は計9メーカーしかエントリーを認めなかったため、参戦は叶わなかった。ただ2025年に向けてはエントリー枠が3台増えてフルグリッドの40台になったこともあり、メルセデスにも参入の余地が与えられた格好だ。
メルセデスAMGモータースポーツの責任者であるクリストフ・サゲミュラーは、発表に際して次のように述べた。
「スリーポインテッド・スターをル・マンに復活させたいと以前から強く願ってきたことは周知の事実だ」
「WECにエントリーする2025年シーズンは、26年ぶりにサルト・サーキットに戻ってくる上で最適のタイミングだ。LMGT3マシンによるシーズンはすでに非常に興味深いものとなっており、今後はさらにエキサイティングな展開をもたらしたい」
またアイアン・リンクスの代表兼CEO、アンドレア・ピッチーニは次のように語った。
「メルセデスAMGをパートナーとして迎えられることを非常に誇りに思う」
「メルセデスAMGは素晴らしいブランドであるだけでなく、モチベーションが高く、決断力があり、成功への意欲が強いチームだ」
なお、アイアンリンクスとランボルギーニの関係がどうなっていくのかについては明らかにされていない。今季ランボルギーニはハイパーカークラスにSC63で参戦したが、2台体制を強いる新ルールにはリソース的に対応が難しいとしている。そのため、WECからIMSAに移るという選択肢もあると見られている。