2022年のルーキーイヤーには4試合に登板し2勝1敗、防御率1.02を記録して先発ローテーションの一角として期待されたオリックスの椋木蓮だが、同年9月末に右肘の違和感からトミー・ジョン手術を決断。長期欠場ならびに育成契約になってしまう。しかし昨年の秋季キャンプから実戦復帰すると、春季キャンプでの紅白戦やオープン戦で好投を見せて、開幕前に支配下に再登録された。今シーズンは首脳陣もあまり無理はさせず、一軍での登板は10試合、先発はわずか1試合だったが、1勝1敗、防御率5.54。二軍では21試合の登板のうち9試合に先発して3勝2敗1セーブ、防御率は1.58とまずまずの成績を残している。ルイス・カスティーヨの去就が微妙なだけに、来シーズン先発の一角としての期待が大きい選手だ。
椋木は「今年の9月だけですけど、1ヵ月間肘が治って投げられたっていうのはすごい評価していただいて。来年は監督も変わるわけですし、1年間投げれるようにすごい期待はしているという風には言われました」と球団からかけられた言葉を明かした。
今季の復帰には「もう少し早く投げられたんじゃないか」という気持ちもあったようだが、じっくり待った分だけ収穫もあったそうだ。「9月ちょうど頭から一軍に合流できて、最初は投げててもしっくりいかない球ばっかりで、何で抑えれてるんやろうっていう気持ちもありながら投げてたんですけど、最後の2、3試合はコントロールもスピードも自分の思ったような球は結構投げれたなっていう風もありましたし、最後のソフトバンク戦もいい形で終われたので、来年は本当に3月、4月から一軍にいたいなっていう気持ちは昨年よりすごいあります」と意欲を見せた。
岸田護新監督については「基本相談するとしたら岸田監督(今年までは投手コーチ)だったんで、 野球以外のこともすごい話したり、お互いにそんな冗談を言い合える中でもあったので、より監督を1位にしたいなっていう気持ちはすごい強くなりました」と胴上げしたい気持ちを述べると、そのためにも「先発をするかはまだ分からないですけど、どっちにするにしても 一軍にずっといるっていうのは、もう自分の中でも最低条件だなって思って、この冬やらないとなって思います」と気を引き締めていた。
もちろん本来の力を取り戻すことが目標ではない。「結局自分の球が行ったのはストレートとかだけで、カーブとかスライダーでカウントが取れなかったので、その辺を空振りが取れるような球にしたい。元に戻すだけで多分通用するとは自分では思うので、変化球をしっかりやっていきたいなと思います」と、フォークを中心とした変化球に磨きをかけていくことを誓った。また、「数字で見たら1年目と変わりはないと思うんですけど、物足りなさはまだ投げてても思うので。1年目がベストではないんですけど、そこを超えないとこの先通用しないと思うので」と球の力強さに関しても探究していく。
「先発もやりたいですし、昨年までだったら絶対先発って思ってたんですけど、今年は中継ぎのすごさであったり、中継ぎにいたからこそ先発の人のすごさとかも感じたので、特にどっちをやりたいっていうのは今はないです」とポジションにはこだわらないが、やはり椋木は先発タイプだろう。
「オフは12月も1月もこっち(大阪・舞洲の球団施設)でやろうと思うんですけど、自分の場合、とにかく投げた方がいいのかなって。 ウエイトとかは普段通りにいつもやってるので、その中で投げる感覚がまだ戻ってないと思うので。オフだから休めるっていうのは昨年までやってたんですけど、そういうのなく休まずに投げ続けれていけたらなって思います」と完全復活に向けて動き出す。椋木にとって、来シーズンは飛躍の年にしてもらいたい。
文⚫︎THE DIGEST取材班
写真⚫︎野口航志