ハミルトン離脱はメルセデスにとってポジティブ? ウルフ代表、書籍での自身の発言を弁明「文脈が誤解されている」

 メルセデスのトト・ウルフ代表は最近発売された書籍の中で、今季限りでルイス・ハミルトンが離脱することをポジティブだと読めるような一文を記したとして、ファンらの間で話題となっている。これについてウルフ代表は、ラジオ番組に出演した際に、「文脈から少し外れて解釈されてしまった」と弁解した。

 ハミルトンは長年在籍してきたメルセデスを今季限りで離れることを決断。来季からフェラーリに移籍することになる。つまりメルセデスのマシンを走らせるのは、あと3レースということだ。

 メルセデスはハミルトンの後任として、現在FIA F2に参戦するアンドレア・キミ・アントネッリを起用することを決めた。新人ドライバーをいきなり起用するということは、近年のメルセデスにとっては大英断とも言えよう。

 このことについてウルフ代表は、最近発売された書籍『インサイド・メルセデスF1:ファストレーンでの日々(nside Mercedes F1: Life in the Fast Lane)』の中で、「このスポーツで最も象徴的なドライバーに、引退を告げなければいけない瞬間を回避できる」と記した。そして次のようにも付け加えた。

「1年プラス1年の契約しか結ばなかったのには理由がある」

「我々は認知能力の鋭敏さが非常に重要なスポーツに身を置いており、誰にも寿命があると信じている」

 これらのコメントは、一部メディアやSNS上での論争の種となったが、BBCラジオ4の番組に出演したウルフ代表は、次のように弁明した。

「少し文脈から外れて解釈されてしまった」

「私が言いたかったのは、F1マシンに乗っていようが、グラウンドに立っていようが、マネージャーや起業家であろうが、誰でも同じように歳をとるということなんだ」

「それが、私が自分自身に対してしようとしていることなんだ。つまり『素晴らしい状態から、良い状態になってしまっていないか?』ということを理解することだ。”良い状態”では、もはやF1に存在することはできない」

「ルイスは、マシンの調子が良い時には本当に力を発揮すると思う。そして彼に、最高のパフォーマンスを発揮できるマシンを提供することができず、それはチームにとっても彼自身にとっても、等しくフラストレーションが溜まるモノだ」

「しかし、彼は非常に鋭い。もちろん、20歳の時とは明らかに異なっている。でも、彼の経験とレースでの技術は素晴らしいんだ」

 ハミルトンは今季ここまで、2勝を挙げている。

 母国イギリスGPでは、2021年サウジアラビアGP以来となる感動的な勝利を挙げ、未勝利期間に終止符を打った。また、チームメイトのジョージ・ラッセルがトップチェッカーを受けながらも車両重量不足で失格となったベルギーGPでも、繰り上がりで勝利を手にしている。

 今季は残り3戦だが、現在コンストラクターズランキング4番手につけているメルセデスとしては、今以上にポジションを上げる見込みがないため、既に来シーズンに目を向けているようだ。