【MotoGP】マルティンが抱えた”恐怖”。メンタルの問題を乗り越えた末にチャンピオン掴む「もうタイトルは無理なんじゃないかって……」

 プラマックのホルヘ・マルティンは、今季の開幕当初、精神的に苦しみMotoGPでチャンピオンを獲得できないのではないかと「恐れていた」ことを明かした。

 マルティンは2023年、ドゥカティ・ファクトリーのフランチェスコ・バニャイヤに敗れてチャンピオンを逃した。そして最高峰クラスで4年目のシーズンを迎えるにあたり、負けることが怖くなったと語った。

 しかし心理学者であるゼロ・ガソルと協力することで、彼は問題を克服し、トラック上でのパフォーマンスを向上させることができたという。

 20戦中スプリントで7勝、決勝レースで3勝、決勝で計16回もの表彰台を獲得したマルティンは、MotoGP時代になってからサテライトチームでタイトルを獲得した最初のライダーとなり、2連覇中だったバニャイヤに10ポイント差をつけてチャンピオンに輝いた。

 しかしマルティンはシーズン前から精神的にひどい状況だったという。

「僕はメンタルヘルスの面で苦しんでいたんだ。昨シーズンは素晴らしかった。でも全般的に、恐怖心が強くなってきて、MotoGPでチャンピオンになるのは無理なんじゃないかって、本当に怖くなったんだ」

「かなり改善できたから、コーチに感謝だ。負けることへの恐怖よりも、勝つことへの希望に集中できるようになったんだ」

「もし負けたとしても『大丈夫、僕は死なない。これが人生だ、ここで終わりではない』と思えるようになった。でも僕は勝利への希望を失っていたんだ」

 マルティンは初めてタイトル争いを演じた2023年、手痛いミスを何度も犯しており、インドネシアGPでのトップ走行中のクラッシュはしばしば、バニャイヤに主導権を譲った決定的な瞬間だと挙げられている。

 今季はスペインGPとドイツGPで同様に勝てるポジションから転倒してしまっているが、夏休み明けに力強くカムバック。一方でバニャイヤが重要な局面でミスをし、シーズン11勝しながらも3連覇を逃した。

 マルティンは、アプローチを変えたことで、2024年は過去の過ちにとらわれず、今に集中できるようになったという。

「今年重要だったのは、過去から学び、同じ過ちを繰り返さないことだった。人生と同じで、間違いを犯すことはある。僕たちは人間であり、間違いを犯すものなんだ」

「重要なのは、失敗からポジティブなものを得て、『このことから学び、同じことを繰り返さない』と言うことだ」

「僕にとって重要なのは、今を生きること。未来のことはわからない。だから今を生き、過去から改善し、自分の100%を尽くす、それだけだ」