小学生にとって一大イベントの一つである遠足。昼食後、自ら持ち寄った自慢のおやつを友人同士で交換し合うのを楽しんだ人も多いと思うが、近年は遠足でのお菓子交換を禁止する学校も増えているという。
「おやつ交換禁止」に賛否の声続出
今年11月、修学旅行でのお菓子交換を巡り、小学6年生の息子を持つ母親のX上での一件の投稿が話題となった。
〈間もなく修学旅行の息子。おやつ交換は禁止されている(アレルギーの問題等で)のだけど、本人がアレルギーないから大丈夫だと言ってても交換したらダメってことに、クラスの子から不満が出てるらしい〉
と吐露した。つづけて、
〈先生はアレルギーの問題等も説明したみたいなんだけど、ある1人の子が大きな声で「あぁ~責任取りたくないんですね~。」って言ったんだって〉
〈そりゃ、小6にもなれば自分のアレルギーは知ってる。『責任取りたくない』のではなく、『責任取れない』は似て非なるものだと思うんだよね〉
〈(おやつ交換して)何かあったら、その子達の親同士の責任じゃん。その責任、先生が背負うのは違うじゃん。だから未然に防いでるってことでしょ?〉
アレルギーのある児童のために、クラス全体で「おやつ交換禁止」の決定を下した教員。それに対し、不満の声があがるクラスの状況。これに対し、X上ではさまざまな意見があがった。
〈自分のおやつは自分で食べたらいい〉
〈お菓子交換してワイワイ楽しみたい気持ちはわかるけど、その文句言った子は、アレルギー舐めすぎだわ。卵、乳、小麦、そばは特にやばい〉
〈アレルギーで命を落とす事もあるから、そのリスクを回避するのは当然の事であり、それが適切に責任を取ることになる〉
〈みんなが交換している中でアレルギーやその他の事情で交換に参加できない子がいたらどう感じるだろう?何でも平等である必要がありませんが、そういう思いやりがある世の中の方が豊かだと思います〉
と、教員の対応への賛同やお菓子交換というイベント自体に対する疑問の声があがった。その一方で、過剰な対応ではという声も…。
〈マジで楽しい恒例行事なのに…。1人のためにみんなが犠牲になるのが可哀そう〉
〈アレルギーの子だけおやつ交換に参加しなければいい〉
〈もしアレルギーがない世界になっても、今度は食中毒とかって理由で禁止されそう。責任って押し付けると何もやらない方向に持ってくようにするよね〉
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調布の小学女児、死亡事故がきっかけに
近年は、アレルギー問題に力を注ぐ学校が目立ち、それに伴って遠足のお菓子交換自体を禁止する学校が増えている。
東京都のとある自治体の教育委員会が発行した「食物アレルギー対応方針」にも「遠足や社会科見学等では、児童・生徒が持参した弁当や菓子の交換などをしないよう、学級担任等が指導する」と明記されていた。
かつては遠足のワンシーンとして許容されたお菓子交換が、なぜ令和の今ここまで厳しくなったのか。都内の自治体の給食センターで働く担当者に話を聞いた。
「2012年12月に東京都調布市の小学校で、食物アレルギーを持つ小学5年生の女児が、給食で乳製品の粉チーズが入ったチヂミを食べたことで亡くなったんです。この事故がきっかけで、調布市では『調布モデル』と呼ばれる食物アレルギーへの対応マニュアルが作成されたんですが、これを機に文科省も動き始め、全国的に児童のアレルギー対策への意識が一気に高まりました」(給食センター職員、以下同)
女児が引き起こしたのは、急性アレルギー反応の一つとして知られる「アナフィラキシーショック」。アレルゲンが体内に侵入することで、複数の臓器にアレルギー症状が急速に現れ、血圧低下や意識障害を引き起こす。一刻も早く医療機関で治療しないと死に至る危険性があるものだという。