「DV彼氏にフォークで鼻を刺された話」をSNSに投稿したら、憧れの漫画家になれた話。

夢を叶えるために必要なのは、”運”を引き寄せる行動力

──現在、漫画家として活躍中のかりんこさんですが、会社員から漫画家へのキャリアチェンジは、いつから考えるようになったのでしょうか。

書籍化のお話をいただいたときは本当にうれしくて、すぐに引き受けちゃいましたね(笑)。でも、あくまで書籍化は「記念」で、育休が明けたら会社員として職場に復帰するつもりでした。趣味や副業で漫画を書くのはいいけど、家族もいるし、不安定な仕事に就くのは現実的じゃないな、と思っていたんです。

でも次第に「商品のPR漫画を書いてほしい」といった書籍化以外のお仕事もいただけるようになってきて。漫画家としての取引先がどんどん増えて、気がついたら少なくとも半年先くらいまでは、漫画の仕事だけでも、家族みんなでちょっとした贅沢ができるくらいには稼げる土台ができていました。それに、漫画家なら家で仕事ができるし、家族の急な体調不良にも対応しやすい。

会社員よりも漫画家の方が、私にとっては現実的な選択肢になったから、キャリアチェンジを決意できました。

──振り返ってみて、なぜ自分が夢を叶えられたと思うか、教えていただけますか。

一つ言えるのは、「やりたい」と思ったことにはなんでも飛びついてきたから、その結果運を引き寄せられたのかなって。昔から絵を書いていたとか、昔はメンヘラとばっかり付き合っていたとか、そのうちの一人に鼻をフォークで刺されたとか、SNSで漫画を書き始めたとか、書籍化の話に飛びついたとか、どれか一個が欠けても、今の私はいないですからね。

──「やりたい」ことに迷わず飛びつくためには、どうすればいいですか。

死ぬ間際って走馬灯を見るじゃないですか。その走馬灯を、どんな思い出で満たしたいのかを考えるといいと思います。

人間の人生って、あたりまえだけど1回だけ。約80年しか時間がない。さらに、自分がやりたいことのためにお金や時間を使えて、かつ心身ともに健康な時期を考えると、やりたいことに挑戦できる時期ってすごく限られていますよね。

もちろん、挑戦することで嫌な思いや辛い思いをすることもあるかもしれないけれど、失敗しても大抵のことでは死にません。私は、仕事相手に眼の前で名刺を破られたことも、元カレに鼻にフォークを刺されたことすらも、人生を彩る経験になっていますから(笑)。

だからこそ、やりたいことがあるならまずは何事にもチャレンジしてみてほしい。それで、「私の人生、結構無茶してきたな。でも、めちゃくちゃ楽しかったな」と思える走馬灯を、皆さんにも見てほしいなと思っています。

(文:仲奈々 編集・写真:いしかわゆき)