〈エビデンスレベル2〉
「ランダム化比較試験」を実施した研究。
たとえば、新しい薬の開発をする際、その薬を「使うグループ」と「使わないグループ」とに、くじ引きやコンピューターでランダムに分けて、グループごとの効果の違いを検証します。
ランダムに分けることで、結果に影響を与えそうな背景や要因を両グループで均等にすることができて、平等な比較が可能になります。
また、被験者が「自分は新薬を服用している」と認識している場合、実際の治療効果とは関係なく改善することがあります。そのため、効果はないけれど見た目はまったく同じプラセボ薬(偽薬)を使って、どちらを服用しているかわからなくすることがあります。これを「盲検化(ブラインド化)」といいます。
このランダム化比較試験ではもっとも正確に効果が検証できるため、新しい薬を開発する際の「治験」では必ず行われます。治験とは、ヒトを対象に、新しい薬や治療法の効果、また安全性を科学的に調べる臨床試験のことです。
製薬会社は「くすりの候補」を用いて国の承認を得るために治験を行い、研究結果を集めます。その治験は省令に定められた要件を満たす病院のみで行われます。
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〈エビデンスレベル1〉
「システマティックレビュー(系統的レビュー)」と「メタアナリシス(メタ解析)」。
ひとつのテーマに対して、世界中で複数のランダム化比較試験が行われています。しかし、それらの結果は必ずしも一致していません。たとえばある薬の有効性に関して、A大学での研究では有効で、B大学の研究では無効といった結果になることもあります。これでは、どうしていいか答えが出ません。
そこで一定の基準を用いて、同じテーマの研究を徹底的に探し出して系統的に批評や再検討する「システマティックレビュー」や、さらに、個々の研究の結果を統計学的な手法で合体させ、数値で表す「メタアナリシス」という方法によって結果を得ます。それがエビデンスの信頼性がもっとも高いレベル1です。
ある治療法が開発されたとします。そうすると、世界中でその治療法についてのさまざまな臨床研究が行われます。そしてそれらから無数のエビデンスが得られます。
では、どういう状態になればもっとも信頼できるのかと問われると、レベル2のランダム化比較試験が複数実施されて、それらを統合したシステマティックレビューやメタアナリシスが行われ、その結果が得られていること、と言えます。それゆえに、この結果がレベル1となるのです(図9)。