レベルが高いから正しいのか?
ただし、エビデンスレベル1の情報であっても、さらに新しい別のランダム化比較試験の結果が出ると、それを含めて研究を更新する必要があります。システマティックレビューやメタアナリシスの結果にも「賞味期限」があり、将来にわたってそのエビデンスが正しいことを保証するものではありません。
重要な考えなのでくり返しますが、「エビデンスレベル1であっても絶対的にそれが真実だと保証できるものではない」ということも頭に入れておきましょう。
ここまでみてきたように、エビデンスのレベルは、研究デザインの正確さの順番に6つに分類されてはいますが、レベルが高いから正しい、あるいは、低いから間違っている、ということを示すものではありません。
*1 Guyatt GH. Evidence-Based Medicine [editorial]. ACP Journal Club. 1991:A-16. (Annals of Internal Medicine; vol. 114, suppl. 2).
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その医療情報は本当か
田近 亜蘭
2024年10月17日本体1150円+税208ページISBN: 978-4-08-721336-2
「この健康食品は80%の人に効果があった」と表示があると、その商品には高い効果があると感じるものだ。
しかし、実際には「たった10人を調査して8人に効果があった」だけかもしれない。
医療の定説や広告、健康食品の表示など、「情報」の正誤や信頼性を見極めること、それは自らの健康を守るための意思決定において重要だ。
「ヘルスリテラシー」とは、「自分に適切な医療・健康情報を探し、理解して活用する能力」である。
その身につけ方や正確な医療情報へのアクセス法について、エビデンス研究の専門家医師が詳細に解説する。
【主な内容】
新聞に載った医療情報…20年後は有効か?
「死亡率が3倍に!」といっても…
医療広告に「体験談」「回数無制限」「施術前後の写真」は禁止
オンライン診療の「やせ薬」処方でトラブルが急増中
通報サイト「医療機関ネットパトロール」がある
健康食品はあくまで「食品」
「飲酒する人には肺がんが多い」は適切か…因果関係の証明は難しい
平均寿命…余命はあと何年?
医療の「エビデンス」には6つの「レベル」がある
「診療ガイドライン」とは医師の診療手引書
診療ガイドラインが検索できる便利なサイトがある
「がん相談支援センター」を活用しよう
「標準治療」ががんの最良の治療法
「先進医療=上質な治療法」ではない
「緩和ケア」は終末期の治療ではない
「統合医療」「代替療法」…ことばを整理する
医療情報の「見極めかた」と「誤りを信じ込む心理」
真実はもっとも面白くないあたりにある