北中米ワールドカップ・アジア最終予選で、これほどサウジアラビアが苦しむと想像した人は少なかったのではないだろうか。
サウジアラビアは11月19日のインドネシア戦で0-2とまさかの黒星を喫し、日本が首位に立つグループCで4位に転落した。同組は独走する日本を除き、2位オーストラリアをサウジアラビア含む4チームが1ポイント差で追うという大接戦だ。
オイルマネーを武器にサウジアラビアがクリスティアーノ・ロナウド、ネイマールをはじめとするワールドクラスのスーパースターたちを集め、サッカー界での飛躍が期待されたのは周知の事実だ。
代表チームもイタリア代表をEURO2020優勝に導いたロベルト・マンチーニ監督を招聘。ワールドカップ予選突破はもちろん、本大会での躍進も目指していただけに、現状は驚きの声を誘う。
米スポーツチャンネル『ESPN』のジョーイ・リンチ記者は、「オイルマネーでサウジが世界のサッカー界を進んでいくなかで、代表チームのパフォーマンスがスピードダウンしているのはある意味で皮肉だ」と評した。
ガブリエル・タン記者は「地元リーグにワールドクラスの選手たちが突然流入してくるのは、諸刃の剣となる。過去10年の中国サッカーが証明しているだろう」と分析している。
「一方では、C・ロナウドやネイマールのような選手を加えることで、サウジプロリーグの知名度が上がるのは確実だ。それによる商業的利益は、競技に還元されれば後押しにもなる。トップレベルの選手の知識と経験から地元のチームメートたちが学ぶことができ、個々のプロ意識やフィットネスのレベルを高められる」
「だがその反面、どんな選手にとってもトップチームでの定期的な経験が重要であることは確かだ。たとえビッグネームでも、クラブで十分な出場機会を得ていなければ、代表戦でもピッチに立てないことがしばしばある」
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実際、成績不振で解任されたマンチーニも、最後は自国選手の出場機会減少への不満を口にしていた。タン記者は、自国選手が一定の出場機会を得られるようにすべきだったと述べている。
「かつて存在し、アジアの他国では今もある外国人選手の制限が、最初からシンプルな解決策になっていたのではないだろうか」
3月の予選で再び日本とも対戦するサウジアラビア。迷える中東の雄は、流れを変えられるのか。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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