11月8日に今季限りでの現役引退を発表し、同10日のJ2最終節・大分戦後に引退セレモニーを行なった仙台MF遠藤康。
2007から21年は鹿島で15年、22年からは地元の仙台で3年、足かけ18年プレーし、36歳となった技巧派MFがユニホームを脱ぐ。
11月21日、ユアテックスタジアム仙台で改めて引退会見を行なった。通常はスーツ姿で臨むことが多い引退会見だが、遠藤の強い希望でトレーニングウェア姿で登壇した。
「単にスーツが嫌なだけです。あと、まだ全然選手としてやっているので、スーツを着てやるのはちょっと僕は性に合わないというか、まだ試合があるのでジャージでお願いってわがままを言いました」
仙台は12月1・7日に行なわれるJ1昇格プレーオフ出場が決まっているため、“まだ自分は選手である”というプライドも垣間見える。それでもプレーオフを前に引退会見を実施したのは「普通はたぶん(シーズンが)終わってからだと思うんですけど、J1昇格して、その後そっちの取材で(報道陣が)忙しくなると思うので、やっちゃおうと」と、仙台のJ1昇格を信じているからだ。
今季はキャプテンに就任したが、怪我の影響もあり、リーグ戦出場は1試合にとどまり、今夏あたりから引退を考えたという。
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18年間、プロ選手として貫いたことを問われると「まずどの練習でも一番目立つように頑張ろうっていう意識でやっていました。鹿島で試合に出られない時期が3~4年くらいあって、一番目立って監督へアピールして試合に出させてもらったので、その意識だけは常に持ってやっていましたね」と語る。
塩釜FCユースを卒業して鹿島に加入後、数年間はほとんど試合に絡めなかった時の悔しさを忘れず、ずっと練習からアピールを続けた。プレーオフを控える今も「今まで通り練習で一番目立って試合に出られる努力をするだけです。しっかりアピールしてゴリさん(森山佳郎監督)に使ってもらえるように頑張ろうかな」と全くブレずにアピールを続ける。
引退後については「これだけは言えるんですけど、仙台や鹿島で指導者はやらないというのは決めています」と明言。そのうえで「まず一番に自分でやらなきゃいけないのは今、なかのFC(遠藤の小学生年代の出身クラブ)の代表をやっていますが、まだまだ自分の思いを還元できてない部分がかなりあるので、しっかりやりたいなと思っています。あとは宮城県のサッカー人口を増やすようなことはしたいですね」と思いを語る。
「なかのFCは育ててもらった恩があるので、そこはしっかり恩返ししなきゃな、と。なかのFCの子たちにしっかり還元することが、宮城県の子どもたちに対しての還元にもなります。あとは今、(仙台市立)中野栄小学校でシーズンオフに毎年体育の授業をやらせてもらっていて、幼稚園に行ったりも来年はたぶんできると思うので、そういうことをやっていこうかな」と、子どもたちへの思いの強さを明かした。
遠藤が今後故郷へどのような恩返しをするのか、ぜひ楽しみにしたい。
取材・文●小林健志(フリーライター)
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