バスケが「今でも大好き」なカリーが目指すゴールは、通算5度目の優勝「僕がプレーしている唯一の理由だ」<DUNKSHOOT>

 ゴールデンステイト・ウォリアーズは、現地時間11月20日のアトランタ・ホークス戦をホームのチェイス・センターで快勝(120-97)し、2位のオクラホマシティ・サンダー(12勝4敗/勝率75.0%)とゲーム差なしながら、11勝3敗(勝率78.6%)でウエスタン・カンファレンス首位をキープした。

 アンドリュー・ウィギンズがゲームハイの27得点に7リバウンド、4アシスト、2ブロック、ステフィン・カリーが23得点、8アシスト、2スティール、トレイス・ジャクソン・デイビスが14得点、11リバウンド、4アシスト、ドレイモンド・グリーンが9得点、7リバウンド、9アシスト、2ブロックをマーク。

 一方でチームはこの日、先日の試合で負傷したディアンソニー・メルトンが左ヒザ前十字靭帯の追加検査を受けた結果、手術を受けることが最善と判断され、今季残り試合を欠場することを発表した。

 攻守に頼れるコンボガードを失ったことは痛手となるものの、今季のウォリアーズはここまで連敗なしで白星先行。11位のダラス・マーベリックス(8勝7敗/勝率53.3%)まで11チームが勝ち越す大混戦のウエストにおいて、首位争いを演じていることは良い意味で序盤戦のサプライズとなっている。
  チームのフランチャイズプレーヤー、カリーは今季ここまで11試合の出場で平均23.0点、5.2リバウンド、6.5アシスト、1.82スティールに、3ポイント成功率44.1%(平均4.1本成功)を残している。

 得点はケガで5試合の出場に終わった2019-20シーズンを除くと直近12年間で最も低いアベレージ。もっとも、キャリア4位に相当する49.1%のフィールドゴール成功率が示すように、ショットの精度が下降したわけではなく、むしろチームの選手層が厚くなったことで自身の負担が軽減されていると見ていい。

 来年3月に37歳を迎えるカリーは、昨季までの15年間で4度の優勝と2度のシーズンMVP、2022年にはファイナルMVPにも輝いたほか、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ10回、NBAの75周年記念チームにも名を連ねている。

 また、アメリカ代表でも2010年と14年にFIBAワールドカップ(10年は世界選手権)で優勝、さらに今夏はパリオリンピックでも金メダルを手にしたことで、その業績は今すぐ引退しても殿堂入りが確実と言えるものとなっている。

 だが、カリーはこのままプレーを続けるだけで現役生活を終えるつもりはない。この日公開された地元メディア『NBC Sports Bay Area』のポッドキャスト番組『Dubs Talk』に出演した際に、“5度目の優勝”が最大の目標だと明かした。

「正直な話、僕がプレーしている唯一の理由がそれなんだ。業績という意味でそれが唯一自分の求めているものなんだ」
  コート外では妻と4人の子どもたちを持つ父親で、ウォリアーズでは最年長、リーグ全体でも大ベテランの部類に入る。それでも依然トップレベルを維持し、コートに立てば誰よりも相手ディフェンダーを引きつける影響力を誇っている。

 そんなカリーは「今でも大好き」だとバスケットボールへの愛を語る。

「ゲームでプレーするのは今でも大好きなんだ。毎日練習することだって大好きだよ。僕にとってバスケットボールは今もなお楽しいものだからね。毎晩コートでどのようにして勝つかを見出すことがチャレンジであり、僕は今でもそのことにかき立てられている」
  3ポイントでバスケットボール界へ革命を起こした“ゲームチェンジャー”(変革者)は、レギュラーシーズン通算成功3792本、プレーオフでも618本でNBA歴代トップに立ち、 “史上最高のシューター”の名を欲しいままにしている。

 4度の優勝はチームメイトのグリーン、昨季までの同僚であるクレイ・トンプソン(現マーベリックス)、好敵手レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)と並んで現役最多タイ。5度目を達成することになれば、コビー・ブライアント(元レイカーズ)やティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)、そして“史上最高のポイントガード”と評されるマジック・ジョンソン(元レイカーズ)と並ぶ。

 カリーの現行契約は今季を含めてあと3年。残された時間でひとつでも多くのタイトルを手にすべく、コートに立ち続けるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)