ATP(男子プロテニス協会)とイタリアテニス連盟は、男子上位8名によって実施されるシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」が、引き続き2030年までイタリア国内で開催されることを発表した。
賞金総額が1520万ドル(約23億円)で、シングルスの全試合に勝利してタイトルを獲得した場合は約488万ドル(約7億5000万円)が手に入るATPファイナルズは、他のツアーとは比べ物にならないほどの規模を誇るまさにビッグゲーム。もちろん人気も非常に高いためチケット収入や放送権料などは毎回莫大な利益を主催者にもたらしている。
このドル箱ともいえる豪華大会をイタリアテニス連盟が仕切れるのは2025年までだったが、今回さらに5年間の開催期間延長が認められたのである。大会招致を巡っては、「ネクストジェンATPファイナルズ」(21歳以下の上位選手による大会)を23年から実施しているサウジアラビアが最大のライバルとみなされていたが、イタリアテニス連盟によると「過去5年間の素晴らしい成功を収めたこと」が期間延長に至った最大の理由だとする。
今回の決定に関してイタリアテニス連盟会長のアンジェロ・ビラーギ氏は ATPのホームページを通じて「テニスはこの国の歴史と文化において特別な位置を占めている。Nitto ATPファイナルズは、イタリアのファンに愛されており、ヤニック・シナーが世界ランキング1位となったことで、このつながりはこれまで以上に強固なものとなった。このイベントが今後さらに成長を続けるであろうという確信のもと、私たちは胸を躍らせながら未来を見据えている」とコメント発表した。
またATP会長のアンドレア・ガウデンツィ氏は「この4年間、イタリアは私たちの最も権威ある大会の素晴らしいホストとなり、選手とファンの両方にとって本当に特別な体験を創り出すというビジョンを示した。イタリアテニス連盟や全ての大会パートナーの皆さんの、これまでの4年間ご支援に感謝します。今後も共にレベルを高めていけることを楽しみにしている」と感謝の言葉とエールを送った。
今年11月10日から17日に実施された本大会では、地元イタリアの若き才能ヤニック・シナー(世界ランク1位/23歳)が失セット数ゼロで大会初優勝を達成。それもあり会場には連日多くのイタリアテニスファンが押し寄せた。
しかも同時期に開催された女子国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ(BJK杯)・ファイナルズ」(11月13日~20日/スペイン・マラガ/室内ハードコート)ではジャスミン・パオリーニ(女子同4位)の活躍もあり、イタリアがスロバキアを2勝0敗で破り11年ぶり5度目の優勝を果たすなど、こちらも大きな盛り上がりを見せている。
今やテニス大国へと成長したイタリア。「Nitto ATPファイナルズ」の開催権5年延長は、そうしたイタリア勢の目覚ましい活躍と国内のテニス人気も後押したと思われる。
構成●スマッシュ編集部
【動画】シナーVSフリッツの「Nitto ATPファイナルズ」決勝ハイライト
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