今年で2回目の開催となるF1ラスベガスGP。昨年の初開催時に問題となったバルブカバーの緩みについては、再発防止の対策がとられたという。
ラスベガス・ストリップ・サーキットでの華やかなレースが注目されたラスベガスGPだが、昨年のレースウィーク初日には大きな問題が発生した。フリー走行1回目には、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)のマシンがメインストレート上にある水道管の蓋の上を通過した際に蓋が外れてしまい、マシンと接触してしまったのだ。
これは蓋をカバーしていたコンクリートのフレームが壊れたことが原因。サインツJr.のマシンは甚大なダメージを受けたため、フェラーリは多額の修理代を支払う羽目になった。しかもこの影響で初日の走行が遅れに遅れ、FP2は観客を帰した後の深夜に空席の中で行なわれるという事態となった。
motorsport.comの調べによると、F1とFIAはこのような事態を繰り返さないよう、6.2kmのサーキットにある多くのマンホール、ウォーターバルブカバーに対策を施したという。その結果、かなりの数のマンホールやそれに類する蓋が舗装された。
このサーキットは主に公道を利用したストリートコースということもあり、サーキットが一般向けに開放された際には自治体が水道バルブなどの設備にアクセスできるようにする必要がある。そのため主催者としても、コースにある全ての蓋を舗装することはできなかったが、舗装されていないものに関しても補強工事が行なわれたという。またこの他にも、ピットレーンエントリーのウォールの位置が変更されるなどの微調整も行なわれた。
昨年の事故の当事者であるサインツJr.はこの件について聞かれ、安全を何より願っているとコメントした。
「昨年のことがあるから、今年は全てが修正されていることを願っている。レース、そしてドライバーをはじめとしたみんなの安全のためにも良いことだからだ。それが何よりもの希望だ」
「でもレースは楽しみにしている。週末は寒いし、普段とは違うコースに、ローダウンフォース、ローグリップ……いつもとは違う多くの変数がある。去年のようにたくさんのチャレンジが待ち受けているだろうから、楽しみだね」
またフェラーリのSF-24は低速コーナーやそこからのトラクション、そしてロングストレートに強い性質を持っていること、そしてマクラーレンに対して劣っているハイダウンフォースのコーナーがないことから、ラスベガスGPの優勝候補筆頭と目されている。
しかしサインツJr.は、気温が低いことからタイヤへの熱入れに苦労している点が顕著に出てしまうかもしれないと語った。
「僕たちは今年、特にこのようなサーキットで速さを見せてきた。でもタイヤを替えたばかりのところ、予選や決勝でのアウトラップが弱いんだ」
「だからこのコースは理論上は相性が良いけど、気温という面では難題を突きつけられると認識している」
「昨年のレースを除けば、これほど気温が低い中でレースをしたことはない。僕たちはこの気温が潜在的に大きな弱点だと分かっている」