男子テニス界を長きにわたりけん引してきた元世界王者ラファエル・ナダル(スペイン)が現地19日に行なわれた男子国別対抗戦デビスカップを最後に現役生活に別れを告げた。グランドスラム(四大大会)通算22勝を誇る生けるレジェンドは、全仏オープン史上最多14勝が示すようにレッドクレー(赤土のコート)で無類の強さを発揮した。
そんなレジェンドのファンを公言するのが、現在まで全仏オープンで4度の優勝を誇るイガ・シフィオンテク(ポーランド/現世界ランク2位)である。いまや「赤土の女王」とも呼ばれる彼女は、2020年の全仏初優勝時に「一度練習したのを覚えているわ。あれは私の誕生日プレゼントみたいなものだった。15分くらい一緒にラリーをしたけど、彼が本当に地に足がついていて謙虚な人だということがわかった。彼と話したのは初めてだったので、特別な体験だった」とテニスメディア『テニスチャンネル』で語っている。
シフィオンテクはそんなナダルから多くのことを学んだという。とりわけ試合に負けた時の心の持ちようについては、今も彼の考え方がベースになっている。
シフィオンテクは2021年の全仏オープンでタイトル防衛に失敗したが、ナダルも21年大会では準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に逆転負けを喫していた。当時はコロナ禍の影響で選手は同じホテルに滞在しており、シフィオンテクは試合に敗れた直後のナダルと偶然会って言葉を交わした。その内容について『テニスチャンネル』に次のように語っている。
「ホテルのどこかで彼に会って、彼が(準決勝で)負けた姿を見て自分は泣いてしまったことを打ち明けた。そうしたら彼はとても冷静で、『それがテニスで、人生はこれからも続いていくし、将来はまた違うゴールもあるんだ』と言っていたんです。その時にメッセージが今も心に残っています」と言い、「それが試合で敗れた際の対処法を学ぶための青写真になった」と明かした。
ナダルのラストマッチが近づいた際にはSNSを通じて「あなたは、私のテニスにおける最大のインスピレーションです」と綴ったシフィオンテクは、「自分をプッシュし続ける理由になっていた」と、ナダルの存在が大きなモチベーションになっていたとした。
そしてナダルがラストマッチを終えた20日、シフィオンテクは自身のインスタグラムを更新。ナダルとのツーショット写真を公開するとともに「もう、できない」と一言綴り泣き顔の絵文字を添えた…。
するとフォロワーからは「頑張って、多くの子どもたちにとって、あなたがラファ(ナダル)であることを忘れないで」のメッセージが寄せられた。
構成●スマッシュ編集部
【画像】シフィオンテクが3連覇!全仏オープン女子シングルス決勝の激闘を厳選ショットで特集!
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