ナダルの引退セレモニーに叔父トニが不満「彼のキャリアに見合う形で何か特別なことをしてほしかった」<SMASH>

 現地11月19日に行なわれた男子テニス国別対抗戦「デビスカップ・ファイナルズ・ノックアウトステージ」(スペイン・マラガ/室内ハードコート)で現役生活に幕を閉じた元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/38歳)。叔父で元コーチのトニ・ナダル氏(63歳)は試合後に挙行された引退セレモニーに物足りなさを感じたと明かしている。

 スペインメディア『El Larguero』によると、トニ氏は「マドリードで仕事があった」ため会場には足を運べず、テレビで甥の現役ラストマッチを観戦したという。今夏のパリ五輪以来公式戦でプレーしていなかったナダルのパフォーマンスについては「彼は試合では練習よりも良いプレーをする傾向があったが、今回はその逆になってしまった」と評し、「彼が活躍できなかったことが悔しかった」と率直な気持ちを語った。

 試合後の引退セレモニーではナダルが身近な人々への感謝の気持ちを伝え終えると、会場のモニターに自身の名場面を収めた1本のビデオが流された。共に“ビッグ4”としてテニス界を牽引してきたアンディ・マリー氏(イギリス/元1位)、ロジャー・フェデラー氏(スイス/元1位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/元1位/現7位)らのはなむけの言葉も紹介され、会場は感動的なムードに包まれた。

 だがトニ氏は「セレモニーは全体的にもっと良くすることができたはず」と少々不満げ。中でも最後のビデオはもう少し内容を充実させてほしかったと続けた。
 「観客の歓声もあって感動的だったし、ああいった映像が流されることも好きだ。ただラファエルの名場面については、例えばセビージャでのデビスカップ優勝、マドリードや全仏オープン、ウインブルドンでの勝利シーンなどを見たかった。そうすればもっと感動的なものになったと思う。もちろん誰かを批判するつもりはないが、彼のキャリアに見合う形で、(もう少し)何か特別なことをしてほしかった。

 家族や元コーチとして、感謝の気持ちは持っている。ただ今日では(技術の発展により)音楽と映像を組み合わせた、もっと感動的なイベントを作り上げることができる。ラファエルの場合、彼の映像だけで情熱や感動を伝える力がある。もしそうしていたら、より彼の功績にふさわしいものになっただろう」

 男子選手歴代2位の四大大会22勝(うち全仏14勝)を含むツアー92勝を挙げ、“生涯ゴールデンスラム”(四大大会と五輪制覇)の偉業も達成するなど、幾多の華々しい功績を残したナダルを家族として、そして指導者としてずっとそばで見守ってきたからこそ、トニ氏は偉大なる甥のフィナーレに何か思うところがあったのかもしれない。当の本人がどう感じているのかは気になるところだが、何はともあれ第2の人生を歩み始めるナダルをこれからも応援していきたい。

文●中村光佑

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