2026年北中米ワールドカップは先週から今週にかけて、世界中で地区予選が行なわれ、多くの熱戦が展開されたが、南米も同様であり、世界王者のアルゼンチンが伏兵パラグアイに敗れるという番狂わせも起こるなど、より多くの注目を集めることとなった。
このサッカー大陸の予選は、加盟10か国によるホーム&アウェーでの総当たりという方式が採られており、各国全18試合という長丁場の戦いで現在は12節が終了したところであり、アルゼンチンが勝点25で首位を快走し、これを5ポイント差でウルグアイが追い、3位エクアドル、4位コロンビア。この後ろに前例がないほどの不振ぶりが目立つブラジルが勝点18で5位につけ、以下パラグアイ、ボリビア、ベネズエラ、チリ、ペルーと続く。
【動画】コロンビアvsブラジルの一戦は… 上位6か国が本大会に駒を進めることになるこのリーグ戦は、現地時間11月19日の第12節をもって今年最後の戦いを終えており、来年3月に再開していよいよ佳境を迎えることになるが、スポーツ専門チャンネル『ESPN』はここまでの戦いぶりから、各チームが抱える問題を挙げている。
その中で気になるのは、やはりアルゼンチンとブラジルの2強だろう。今予選では対照的な歩みを見せているライバル同士だが、とりわけ問題が顕在化しているのは後者であり、同メディアはここまで5勝3分け4敗という成績で、12節ウルグアイとのホームゲームでは1-1で引き分けた後に半分ほどしか埋まらなかったスタンドの観客からブーイングを浴びせられた「セレソン」について、「これだけの才能を有するチームとしては、あまりに物足りない結果だ」として、その要因を以下のように指摘した。
「ブラジルには、才能がピッチ上で均等に分布されていない。サイドの攻撃選手が飽和状態で、使いきれないほどの状況にある。ゆえに、その中のひとりであるラフィーニャは現在、中央寄りのポジションでプレーしているほどだ。スペースがあって、スピードに乗った時の攻撃は圧巻で、相手守備陣は対応に追われるが、攻撃をあまりに急ぎすぎたり、直線的すぎたりすると、リズムの変化や緩急が不足してしまう」
また守備の問題にも言及し、「チームの戦術により、中盤のセンターにスペースを与えすぎており、毎試合、ブラジルは守備ライン前で相手に自由にプレーすることを許し、これが失点に繋がってしまっている」と記述。ただ好材料も挙げており、「先月、下位2チームに勝利したことで、予選突破の不安はほぼ払拭された。これにより、ドリバル・ジュニオール監督には、チームのバランス改善に取り組む時間が与えられるだろう。今後は全ての試合が貴重な実戦練習となる」。
対して、アルゼンチンは大エースのリオネル・メッシをはじめ、絶好調のラウタロ・マルティネスやアレクシス・マク・アリステルら欧州トップリーグで活躍中の若手たちが好融合を見せ、予選首位を守り続けている他、今夏のコパ・アメリカでも連覇を果たすなど、その前途は明るいように見えるが、今予選ではここまで3敗を喫している点を見逃すことはできない。
同メディアは、「栄光の時代は終わりを迎えつつあるのか?」と見出しを打ち、世界王者がこの予選で3分の1の日程を残している時点でW杯出場権をほぼ確保しているのは間違いないとしながらも、「一抹の不安が漂っている」とも指摘。同国の著名なジャーナリストであるファン・パブロ・バルスキーが、「アルビセレステ」が1-2の敗北を喫した後に「史上最高のチームの中核メンバーの終わりを意味する」と語ったことを紹介した。
この発言の真意については、「彼が指摘しているのは、現在のチームがピークを過ぎたのではないかということだ。アンヘル・ディ・マリアの代わりは存在せず、メッシの代表での将来も不透明。さらに、チーム全体の再構築が必要だという意見もある。メッシはラウタロやフリアン・アルバレスと同時にプレーできるのか? おそらく強豪相手では難しいだろう」と説明している。
バルスキー氏の「今こそ、チームを刷新し、変化させ、代替策を模索する時だ」との主張に対し、同メディアは「アルゼンチン代表監督のリオネル・スカローニがこれに同意するのかどうか、近いうちに明らかになるだろう」と、最盛期にあるアルゼンチンの未来に向けた動きに興味を示した。
なおその他の国への指摘では、ウルグアイはマルセロ・ビエルサ監督と選手の確執が表面化したことの影響が懸念されるも、こちらはその後にこのアルゼンチン人名将の采配が的中していることから、「彼らは軌道に戻ったようだ」。一方、強豪に割って入って3位の好位置にいるエクアドルに対しては、堅守を誇る守備陣と中盤は高く評価する一方で、「問題は攻撃で、ストライカーが不足しており、依然としてエネル・バレンシアに頼りすぎている」と指摘している。
最後に、今回のコパ・アメリカ決勝で敗れるまで、2年間無敗を維持してきたコロンビアについては、直近の4試合で3敗を喫しており、ネストル・ロレンソ体制で初めて迎えた試練を乗り越えられるかに注目する同メディアは、「カタールW杯出場を逃したトラウマに今なお苦しんでいる世代の選手たちの“傷”が悪化する可能性がある」と、苦戦が続く可能性を示唆した。
構成●THE DIGEST編集部
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