■中澤星児:ドラゴンクエストⅣ ~導かれし者たち~ ファミコンでプレイ
あれは小学校2年生の時のことだった。小学校入学時、近所の子と同じクラスにならず、半泣きのボッチスタートだった私。そんな私に初めてできたクラスの友達がユウマくんで、気づけば毎日遊ぶようになっていた。
家に行って気づいたのだが、ユウマくんは私の家の近所の子たちとは違った。鍵を自分で開けて家の中を好きに使えるのである。同じ年齢なのに、家を自由に使ってるユウマくんは大人びて見えた。
しかも、お母さんは若くて綺麗。見たことないくらい化粧をしていて、ふわっふわのコートを着ている。一度だけ家に帰ってきたのを見た時は芸能人かと思った。
そんなユウマくんはゲーム好きで、比較的欲しいものを買ってもらえてる感じだった。誕生日にしかおもちゃを買ってもらえない私とは大違いである。そこで「一番面白かったゲーム貸してよ」と言ってみたところ、貸してくれたのは、小さいキャラがマップ上をのろのろ移動する何が面白いのか分からないゲームであった。
当時、アクションしかやったことがなかった私(中澤)は、まずスピード感の無さにガッカリした。
これの何が面白いのか? そもそも、どうやったら話が進むのか全く分からない。気づけば苦手意識から手をつけなくなっていた。初めての挫折である。
そのまま数カ月は経っただろうか。悲しいけれど「趣味が合わなかった」と返そうかと思っていたある日、事態は急変する。
ユウマくんが転校するというのだ。
この2年ずっと一緒にいたユウマくん。これからも当たり前に一緒に遊ぶと思っていたユウマくん。そのユウマくんがいなくなってしまう。何かやり忘れたことはないだろうか。
そこで小骨のように引っかかったのが放置しているゲームだった。ユウマくんのオススメのゲームを理解しないまま返してしまっていいのか。
何カ月ぶりかに差し込むカセット。絵だけじゃなく、セリフも集中して読むと、モブキャラがヒントを言っていることが分かった。遅々として進まない歩みの遅さは、少しずつストーリーを踏みしめるワクワクに変わった。次はどういう物語が待っているのか?
一歩一歩進むからこそ、目の前に大冒険の幕が開いた。そして、最終章に差し掛かった時、リミットがやって来た。
引っ越しの前日、ユウマくんにカセットを渡すと同時に私は嘘なくこう言うことができた。「めっちゃ面白かった!」と。
そのゲームこそ『ドラゴンクエストⅣ』だ。私が初めてクリアしたRPGであり、挫折と乗り越えることの価値を教わったゲームである。
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■古沢崇道:デス・ストランディング(DEATH STRANDING) PS4でプレイ
世界屈指のゲームクリエイター・小島秀夫監督が生み出した『デス・ストランディング』を推したい。この作品は超簡単にいえば、配達人(プレイヤー)が依頼品を目的地まで届けるお使いゲームである。
舞台は荒廃した未来のアメリカ。孤高の配達人がシェルターに住む人々へ物資を届けて他人と繋がっていくというお話だ。プレイしてみると “荷物を届けることの大変さ” が体験できるようになっていて印象的だった。
重い荷物を背負ったまま長いこと歩いたり、山・谷・川などの過酷な地形を往復したり、すっ転んで荷物に傷が入ってヒヤヒヤしたり、その斬新なゲームシステムにはかなり驚いた記憶がある。
プレイ中はひたすら歩いて各地へ移動するため、ぶっちゃけ途中でしんどくなることもしばしば。だが、小島秀夫監督の骨太なシナリオ・映画的な演出によってゲームはドンドンおもしろさを増していく。
これほど革新的かつ独創的なゲームは稀有(けう)である。来年は2作目が発売されるようなので、そちらもぜひプレイしてみたいところだ。