ニコン Ai方式3機種(「FT3」「F2フォトミックA」「F2フォトミックAS」) Vol.21 [ニコンの系譜]

続投となったカニ爪

まず旧カメラボディのユーザーへの対処だが、これはAi方式のレンズにもカニ爪を設けることでそれまで通りガチャガチャ方式で問題なく絞り連動ができるようにした。ただし、後に述べるような理由によりカニ爪には明り取り用の窓が2つ設けられており、その外観から「ブタ鼻」とも呼ばれている。その後新たに発売された交換レンズにも最初からブタ鼻が設けられており、これは一部を除いて1987年のAF化まで続いた。AF以降もユーザーが希望すればブタ鼻を絞りリングに付加するサービス(有償)を設定し、これは絞りリングそのものがなくなったGレンズが出るまで続いた。

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Ai改造

では、それまでのカニ爪を備えた交換レンズは新しいAi方式のカメラボディに装着して使えなかったのだろうか?それについてもニコンは手厚い対応をしている。旧レンズのほとんどのものについて絞りリングの交換部品を用意し、サービス部門でこれと交換することにより、Ai方式のボディに装着して問題なく使えるようにしたのだ。そして新たにAi方式のカメラボディを購入したユーザーには、所定の本数に限ってこの改造を無償で引き受けた。

ニッコールHオート50mmF2のレンズをAi改造したもの(左)と非改造のもの(右)の比較。絞りリングが交換され、Aiレンズと同じく露出計連動ガイド、2列の絞り目盛、EE連動ガイドが設けられている。カニ爪はブタ鼻に変更されており、ねじ止め部分が前後逆になっている。しかし開放F値を伝える突起は設けられていない

このようにして改造されたレンズのことを「Ai改」レンズと呼んでいるが、ブタ鼻もついているので、改造後もそれまでのガチャガチャ方式のカメラボディでもちゃんとTTL連動で使える。ただ、絞りリングの交換のみにとどまったためレンズ後端の保護カバー部の形状でレンズの開放F値を伝える機能は省略されている。しかしこの機能は限られた機種でしか使われていないので、省略しても特に大きな問題とはならなかった。