Ai化されたカメラボディは5機種
カメラボディの方は、このAi方式に対応するものとして以下に示す5機種のものが1977年中に発売された。
- ニコンF2フォトミックA(3月発売)
- ニコマートFT3(3月発売)
- ニコンEL2(5月発売)
- ニコンFM(5月発売)
- ニコンF2フォトミックAS(7月発売)
5機種のうち、ニコンEL2とニコンFMは項を改めて解説する。残りの3機種は、いわばそれまでのガチャガチャ方式のカメラを絞り連動部分のみ変更してAi対応としたものである。つまり、それまでカニ爪と係合した絞り連動ピンの代わりに露出計連動ガイドに連携して動く露出計連動レバーが設けられ、その動きがガチャガチャ機構を介することなく直接可変抵抗に伝えられて、設定絞りの情報を露出計に導入するのだ。露出計連動レバーはニコマートFT3の場合はレンズマウント周りのリングに設けられ、ニコンF2のフォトミックAとASではそれまでの四節リンク機構がそのまま使われていた。
なお、ニコンF2フォトミックAS用にはAiレンズに新たに設けられた「EE連動ガイド」を用いて絞りリングを駆動する「EEコントロールユニットDS-12」が用意された。
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直読式絞り表示
Ai方式のレンズの絞りリングには通常の絞り目盛の他にもう一列の文字の小さな絞り目盛が設けられている。これは直読式のファインダー内絞り値表示のためのものだ。ニコンF2フォトミックなどではファインダー内に設定絞り値を表示していたが、Ai方式になると開放から設定絞りまでの段数をボディ側に伝えるので、設定絞りの絶対値はわからない。そこで絞りリングにファインダー内表示用の目盛りを設け、これを光学的に導いてきて表示するようにしたのだ。
このような直読式絞り表示は別に珍しいことではなく、1960年代から東独のペンタコンスーパーをはじめとして様々なカメラに用いられている。ただ、他社の例では絞りリングに刻まれた絞り数値そのものを読み取るのに対して、ニコンは表示専用の目盛りを設けた点が異なる。他社の場合だと、どうしても数字を斜めから見る形になるので、より垂直に近い角度で数字を読み取るようにしたものと思われる。