誰もが視聴できる地上波では、そこまで過激な作品は放送されない……というのは、ただの思い込みだったのかもしれません。平成から令和にかけて放送されたドラマを振り返ってみると、「これって地上波OKなの?」と目を疑うような実写化作品も度々放送されていました。



『私の夫は冷凍庫に眠っている』キービジュアル (C)テレビ東京/テレビ東京制作

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過激すぎてBPO審議となった伝説の昼ドラ

 これまで実写化されてきたマンガは数多くあり、そのなかには刺激的な性描写や暴力表現がたっぷり盛り込まれた大人向けの作品もありました。さすがに誰もが視聴できる地上波ではできないジャンルなのかと思いきや、そんなことはなかったようです。

 2005年にテレビ東京系列で放送された『嬢王』は、今思うとかなり過激な作品でした。「ビジネスジャンプ」(集英社)で連載されていた倉科遼先生と紅林直先生による人気マンガの実写化ドラマで、借金返済のため夜の世界へ身を投じた主人公「藤崎彩(演:北川弘美)」が、いかにしてNo.1のキャバ嬢、通称「嬢王」に上り詰めていくかを描いた作品になっています。

 彩のライバルキャバ嬢には、蒼井そらさんや吉沢明歩さんなど、当時売れっ子だったセクシー女優の方々を多く起用しており、お色気要素もふんだんに取り入れていました。特に歌舞伎町のNo.1キャバ嬢「二階堂亜莉沙」を演じた蒼井さんがときに男性の上にまたがり、ときにシャワー室でびしょびしょになりながら演じた衝撃シーンに、ドキドキした人も多かったのではないでしょうか。

 こうしたお色気描写を含んだドラマは『嬢王』然り、深夜枠に放送されているイメージが強いですが、かつて平日の13時台には、過激なベッドシーンや愛憎劇が展開される昼ドラマが目白押しでした。なかでも2012年に放送されていた『幸せの時間』は、その過激さゆえにBPO(放送倫理・番組向上機構)で議論の対象にもなった伝説のドラマです。

 原作は「漫画アクション」(双葉社)で連載されていた国友やすゆき先生の同名マンガで、ドラマ版では「浅倉達彦(演:西村和彦)」の妻である「智子(演:田中美奈子)」を主人公に、浅倉家の崩壊と再生の物語が展開されていきます。

 お昼の放送にもかかわらず、毎話ごとに濃厚なラブシーンが盛り込まれており、第1話は開始1分で達彦と女性部下によるオフィス不倫が描かれました。ほかにも達彦は交通事故を起こした相手の女性と関係を持ったり、智子も智子で懇意にしていたお花屋さんに襲われかけたり、さらにふたりの長男、長女もそれぞれヒミツを抱えていたりと、衝撃尽くしで「青少年も見る時間帯にふさわしい内容ではない」といった苦情の声があがるのも仕方がないと思えるほどです。

 過激な内容が話題になったという意味では、2021年に放送された『私の夫は冷凍庫に眠っている』も負けてはいません。小説投稿サイト「エブリスタ」に掲載された八月美咲先生の同名小説を原作としており、漫画家の高良百先生によってコミカライズ化もされた作品です。

 タイトル通り主人公が夫を殺害し、その死体をアイスクリーム用の冷凍庫に隠すところから始まる物語で、殺したはずの夫が翌朝何食わぬ顔で主人公の目の前に現れ、再びともに生活を始めるという本格ホラーサスペンスでした。

 はっきりと作中に大胆な濡れ場やグロテスクな描写が登場するわけではありませんが、本仮屋ユイカさん演じる主人公「夏奈」が、冷凍庫で眠る夫の死体でハンバーグを作り、それを目の前にいる夫に食べさせようとするシーンは多くの視聴者に衝撃を与えました。ドラマを観た人からは「ハンバーグを見ると、このドラマを思い出す」「久々に衝撃的なドラマだった」「本仮屋さん朝ドラヒロイン(2005年の連続テレビ小説『ファイト』)のイメージで止まってたから余計ビックリ」などの声が出た、要注意作品です。