その他の領域での活動について
ここまで「①みんなの銀行アプリを育てる」にフォーカスを当てて紹介してきましたが、他の領域での活動についても簡単にご紹介したいと思います。
②みんなの銀行の新しい事業を生み出す
この領域は、拠り所となるユーザーのデータが全くないため、0ベースから仮説を構築していくことになります。
デスクリサーチや新しいサービスのユーザーになりそうな方をつかまえてインタビューを実施することから始め、課題の洗い出しとペルソナの設定を行います。
設定したペルソナに対する理想的なシナリオをストーリーボードとして描き、ユーザーになりそうな方に提示してコンセプトテストを実施し、結果によってアイデアを考え直したり、そもそものターゲットを見直して調査からやり直したりします。
このようなことを繰り返して必要な機能のあたりをつけながら、ユーザーストーリーマッピングを作成してMVPを定義し、具体的なUIの検討に移っていくような流れになります。
③BaaSの新規顧客開拓支援
この領域ではBaaS事業の営業支援を行っています。
BaaSとは
“Banking as a Service”の略称です。ビジネスパートナーの皆さまに銀行サービスをインターネットを介して提供するものです。アプリやサービスの中にこの金融機能(システム)を組み込み、非金融事業者様が金融事業をクイックに始めることができるサービスです。
お客さまのサービスにみんなの銀行の機能を組み込んだ場合、その先のユーザーにどのような体験を提供できるか、具体的なペルソナやカスタマージャーニーを描き、必要に応じてプロトタイプを作成するといった取り組みになります。
お客さまからすると、自社サービスに銀行機能を導入した際に、どのようなことができるのか、自分たちのユーザーにどのようなメリットがあるのかイメージが湧きづらい部分があるため、我々サービスデザインチームが普段実施しているユーザー起点のアプローチを取り入れ、少しでもイメージが湧きやすくなるようにサポートしています。
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サービスデザインチームのこれまで、これから
このように広く様々な仕事を担っているサービスデザインチームですが、最初から明確な役割やプロセスが与えられていたわけではありませんでした。
プロダクトデザインやコミュニケーションデザインが開業前からFjordと協業しながら活動していたのに対し、サービスデザインは開業後に新しく設けられたロールになります。2021年10月に私がみんなの銀行初のサービスデザイナーとして参画し、当時まだ誰もプロダクト改善の経験がない状況の中で、手探りでプロセスを開拓していくところから始まりました。
色々と進め方を検討する中で見えてきたのは、インハウスデザイナーとして長期的にプロダクト改善を行っていくには、関係各所との関係構築が極めて重要であり、それまでアクセンチュアが行ってきたコンサル的な進め方を踏襲してはだめだということでした。多少遠回りでもメンバーが共感し易い方法を選び、一つずつ合意形成しながら進めることで、関係構築を行うことに注力しました。
例えば改善の根拠とするユーザーデータについて、インタビューの結果よりもコンタクトセンターに届くお問い合わせの方が重要だと考えるメンバーがいれば、まず大量にストックされた何千とあるVoCを地道に分類して傾向を示したうえで、そこに行動データやインタビューを組み合わせて取り組むべき課題を絞り込んだり、あるいは設定されたペルソナに共感できないメンバーがいれば、そのペルソナの元となったユーザーインタビューの動画を一つずつ一緒に見ながら進めたりしました。
このように、サービスデザインの方法論をおしつけるのではなく、関係するメンバーの反応に応じて柔軟にやり方を変えながら進めることで、少しずつ他部署の信頼を得て、サービスデザインの必要性を認識してもらい、成功事例をつくって他のプロジェクトへ水平展開することで、今のサービスデザインチームの形ができていきました。
現在はチームメンバーも増えて軌道に乗ってきましたが、会社全体が発展途上であるのと同様に、サービスデザインチームもまだ進化の途中です。会社の状況に応じてお役立ちの領域を変化させながら、さまざまな領域でよりよい顧客体験を実現することに貢献していきたいと思います。
また前回の記事でも書いたように、より良い顧客体験を実現するためには、私たちデザイナーだけでなく、一緒にサービスをつくり、伝えていくメンバーにも同じようにユーザーを理解してもらうことが必要です。
私たちサービスデザインチームは、会社の中でだれよりもユーザーを理解している組織として、ユーザー起点のマインドセットを会社の隅々に浸透させるためにやるべきことを考え、新しいことにもチャレンジしていきたいと思います。
本記事では「サービスデザインチーム」についてご紹介させていただきました。次回は「プロダクトデザインチーム」の紹介になります。ご期待ください!
(執筆者: みんなの銀行)