フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1ラスベガスGP予選を5番手で終え、ライバルのように低ダウンフォース低ドラッグのリヤウイングを用意しなかったことで 「2レースを棒に振った」と語った。

 レッドブルは金曜フリー走行でライバルたちに比べてストレートスピードが不足しており、GPSデータではメルセデスやマクラーレンよりもストレートで7km/hも遅かった。

 現場でリヤウイングを削るという荒療治の結果、主要区間でのフェルスタッペンのトップスピード差は多少埋まったが、それでもレッドブルのパフォーマンス不足は否めない。

 それでもなんとか5番グリッドを獲得したフェルスタッペンは、レッドブルがライバルが持っているようなラスベガスに特化したリヤウイングを作らないことにしたのは、予算制限が影響していると語った。

「僕たちはそれを作らないことにしたし、持っていない」

 そうフェルスタッペンは話した。

「これは2022年からのことだ。僕たちはこんなに低ダウンフォースで走らせるとは思っていなかったんだと思う。そして予算の上限がある以上、優先順位を選択することになる。僕たちはそれを選んだんだ」

「僕たちももっと低ドラッグ、もっと低ダウンフォース、あるいはもっと違う効率的な形のウイングが欲しかった。検討してみるつもりだけど、一方でこのルールはあと1年しかない。それが合理的かどうかは分からない」

「でも少なくとも僕にとっては、ふたつのレースの週末を棒に振るようなものだ。言うまでもなく、ストレートでのロスが大きすぎるんだ」

 オーストラリアGPでのマシントラブルによるリタイアを除けば、フェルスタッペンは9月のイタリアGPを含む3戦で記録した6位が今季ワーストリザルトだ。フェルスタッペンはラスベガスでも、同じような結果になりそうだと感じている。

 フェルスタッペンは、どこでタイムロスを感じたかと尋ねられると、次のように答えた。

「コーナーとストレートだ。僕たちのウイングでは、特にDRSが開いているとトップスピードが落ちてしまう。それはちょっとしたハンディキャップなんだ」

「それは分かっていたし、ここやモンツァのようなサーキットではそれに対処しなければならない。でもそれ以外にも、タイヤを適切な作動ウィンドウに入れるのにも苦労しているように感じていたよ」

「予選では持てる力を最大限に発揮できたと思う。それが5番手という結果だ。ルイス(ハミルトン/メルセデス)が1周もタイムを出せなかったから、ちょっとラッキーだった。そうじゃなかったら6番手だっただろう」

「これが僕たちにできる最大限の結果だったと思う」

 悔しさをにじませながらも、フェルスタッペンはこのレースでタイトル獲得を決めるチャンスを迎えている。タイトル争いの直接のライバルであるランド・ノリス(マクラーレン)が予選6番手に終わっているためだ。

 ノリスはこのレースでフェルスタッペンとのポイント差を3ポイント以上縮める必要があり、フェルスタッペンがノリスの前でフィニッシュすれば、あるいはノリスが上位でなければそのすぐ後ろでフィニッシュしたとしても、フェルスタッペンがタイトル4連覇を決められる。

 しかしフェルスタッペンは、レースに向けてこの状況を冷静に受け止めている。

「今日は素晴らしかったけど、明日の方がもっと重要なんだ」