[天皇杯決勝]G大阪 0-1 神戸/11月23日/国立競技場
11月23日、国立競技場で行なわれた天皇杯の決勝、神戸を5大会ぶり2度目の優勝に導いたのが、今季、川崎から加入したFW宮代大聖だった。
3トップの左で先発した宮代は、G大阪に押される展開で守備でも奮闘。そして後半途中から今季、新境地として開拓したインサイドハーフに移ると、64分、武藤嘉紀のシュートのこぼれ球に詰めて決勝弾を奪ったのだ。
宮代は前回大会では川崎で戴冠を経験。“個人2連覇”も達成してみせた。
今季に向けては、途中でレンタル移籍を挟んだものの、アカデミーから長年所属した川崎から神戸へ完全移籍するには相当な覚悟が必要だった。大きな決断にはやはり賛否の声も挙がった。
実際にリーグ開幕直前に神戸と川崎が対戦した、FUJIFILM SUPER CUPでは、一部の古巣サポーターからブーイングを受ける場面もあったほどだ。
それでも自身の成長のために決めた道である。「自分は結果で示すしかない」と言い続けてきた宮代の姿は印象的だった。
その意味でも、今季は神戸を牽引し、天皇杯のタイトルに導いたのだから、感慨深さもひとしおである。
【動画】神戸・宮代の決勝弾
その姿を今は神戸のチームメイトとして見守ってきた、元川崎のGK新井章太はこう振り返る。
「難しい感情があった1年だったと思いますし、あいつの活躍のお陰で勝てる試合もめちゃくちゃ多かったです。大聖自身、出られない時期もありましたが、そういう時も頑張っていたので、そういう選手がこういう場で報われるんだなと実感しましたね。
俺にとっては弟がやってくれたような感じ。あいつのことは15歳、中3の時から知っているから。やっぱりめちゃくちゃ嬉しいですよ」
宮代は試合後、「自分が成長できたのはいろんな人の支えがあったからこそ」と語った。
このタイトルが宮代にもたらすものも大きいのだろう。ただ不器用にも映る男は、これからも「結果で示し続けるだけ」と口にし、有言実行へ力を注いでいくのだろう。その歩みは楽しみだ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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