WRC(世界ラリー選手権)は競技3日目のDAY3が終了。これで最終日を残すのみとなったが、トヨタの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組はトップから約2分半遅れの総合5番手につけている。
DAY2ではパンクにより後退を強いられながらも総合トップ3を狙うことができる位置まで盛り返した勝田。DAY3でもM-スポーツ・フォードのアドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組と総合3番手を争った。
ただここで伏兵現る。勝田同様にDAY2のパンクで追い上げのラリーとなっていたオジェがDAY2終了時点では21秒あった勝田とのギャップを削り、SS14とSS15でステージ連勝。1日を終えて勝田のみならずフルモーも抜き去り、総合3番手に浮上した。
ヒョンデとトヨタが争うマニュファクチャラーズタイトル争いでは、各メーカーとも上位2台までが配点の対象。トヨタとしてはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組がオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒョンデ)に次ぐ総合2番手となっていることから、勝田はその対象から外れることとなった。
「ありがたいことにセブがポジションに戻りました。僕は特別なことはしていませんが、それも助けになりました。僕らの戦略に従っただけです」と1日を振り返った勝田。スーパーサンデーに向けても状況は良くも悪くもないというが、「もちろん、みんな諦めるつもりはないと思いますし、僕もありません」と語る。
今季のWRCはポイントシステムが特殊になっており、土曜日を5番手で終えた勝田にはこの時点で8ポイントが付与される。そして日曜日の5ステージの合計タイム順に応じてトップ7にそれぞれ7、6、5、4、3、2、1点が与えられ、最終パワーステージのトップ5にはそれぞれ5、4、3、2、1点が与えられることになっている。これはつまり、土曜日まで順調なラリーを展開していたドライバーも、最終日に“攻めのラリー”を見せたドライバーに多くのポイントを奪われてしまう可能性があるということだ。
マニュファクチャラーズタイトル争いではヒョンデを追う立場にあるトヨタは、ここまで比較的慎重なラリーをさせていた勝田をフルプッシュさせ、大量ポイントを狙いにいかせるのか、それともチームメイトやライバルの不測のアクシデントなどによる後退に備え、確実なラリーをさせるのか……その采配が気になるところだ。
勝田はトヨタのヤリ-マティ・ラトバラ代表とは最終日の戦略についてまだ話をしていないとしつつ、明日への展望を次のように語った。
「最終日どういう形になるかも分かりませんし、ティエリー(トラブルのあったヒョンデのティエリー・ヌービル)も今日戻ってきて速かったですし、簡単な日曜日には当然ならないだろうと思いますが、精一杯やらないといけません」
「ここに走りに来ているのは、当然自分のためでもありますが、チームのためでもあります。これだけ多くのファンの方が来てくれているということもありますし、思い切って走りたいという気持ちがありますが、ただ今年難しいシーズンの中でサポートしてくれたチームのためにも、チームの仕事をしたい……その辺りはこれからの話し合いになると思いますが、とにかく少しでも良い走りができるようにと思っています」