〈斎藤知事に公選法違反疑惑〉“票を収穫”“広報をお仕事”と女性社長がウッカリ暴露。社長は過去に兵庫県の知事直轄事業「空飛ぶクルマ」にも関与か

斎藤元彦知事(47)が再選された兵庫県知事選の公正性が疑われる重大疑惑が噴き出した。斎藤氏から選挙の「広報全般を任された」と主張する同県内のコンサルタント会社社長が、SNSを含む広報戦略を「仕事として手掛けた」とネットで自慢し始めたのだ。ネットでも選挙運動を行なった者に報酬が渡れば公職選挙法の買収罪にあたる可能性があり、そうなれば候補者だった斎藤氏本人も連座制適用で当選取り消しがあり得る。斎藤県政とともに疑惑もシーズン2の幕開けである。

会社のオフィスで「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案

問題の社長は兵庫県西宮市の「株式会社merchu」の代表取締役・折田楓氏。11月20日にnoteに「兵庫県知事選挙における戦略的広報:『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に」という記事を投稿して、斎藤陣営の選挙戦の“内幕”を明らかにした。

「仰天しました。本人は自慢話のつもりですが、公選法違反の買収と事前運動の“自白”に近い表現や、『ひとりぼっちのスタートだった』とアピールした斎藤氏が早くから会社と選挙戦略を練っていたことをうかがわせる写真も登場します。

Xでトレンド入りし、ネット空間の斎藤氏優位を演出した『#さいとう元知事がんばれ』というハッシュタグの誕生も、折田氏側の提案を受けた斎藤氏が『気に入っていた』と書かれています。“がんばれ”というフレーズは斎藤氏本人が最初から関与して作られていたわけです」(ネットメディア記者)

投稿は「とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それが全ての始まりでした。」と、“業務”の始まりから、物語風に展開されていく。

「(今回選挙は)新たな広報戦略の策定、中でも、SNSなどのデジタルツールの戦略的な活用が必須でした」との記述の下に、折田氏と斎藤氏、斎藤氏の参謀とみられる男性ら4人が、プレゼン資料の表紙が映し出された画面を見ている写真がある。

写真には「merchuオフィスで『#さいとう元知事がんばれ』大作戦を提案中」との説明がつけられ、「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました。」とも書かれている。折田氏側の提案を斎藤氏が受け入れたとの主張だ。

投稿はこの後、斎藤氏の写真撮影からキャッチコピーの変更、ポスター、政策スライドの作成など、さまざまな広報手段を手掛けたと誇示する説明が続く。

中でも最も力を入れて書かれているのはSNS戦略だ。Xの公式応援アカウントを含み、インスタグラムやYouTubeなど計4つのアカウントを運用したとし「私のキャパシティとしても期間中全神経を研ぎ澄ましながら管理・監修できるアカウント数はこの4つが限界でした。」と、SNSを統括していたことを強調。

一連の広報手段の説明の最後には「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。」と書かれ、折田氏が広報を仕切ったとアピールしている。

(広告の後にも続きます)

「種まき」「育成」「収穫」の3つのフェーズに…

折田氏は別のYouTubeの動画で「(知事選で)広報全般を任せていただいておりまして、ポスターを作ったりビラを作ったりSNS運用をやったりYouTube運営をやったり」とも述べている。

さらに折田氏は「そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたいです。」「私は政界に進出するつもりは全くありません。また、特定の団体・個人やものを支援する意図もなく、株式会社merchuの社長として社会に貢献できるよう日々全力で走り続けたいと思っています。」と書いており、ボランティアではなく「仕事」だったと明言している。

このnoteが公開された直後から、ネット上では公選法違反行為の自白ではないかとの声が噴出した。

総務省のホームページには確かに「インターネットを利用した選挙運動を行った者に、その選挙運動の対価として報酬を支払った場合には買収罪の適用があります。」と書かれている。

さらに「買収罪の刑に処せられた者が、総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、親族、秘書又は組織的選挙運動管理者等に当たることが連座裁判等により確定した場合(親族、秘書及び組織的選挙運動管理者等については禁錮刑以上の場合のみ)には、公職の候補者本人に連座制が適用され、当選無効や立候補制限が課せられることとなります」ともある。

「noteが事実なら折田氏は『組織的選挙運動管理者等』に当たり、斎藤氏の当選が無効になる可能性もある」と政界関係者は話す。

さらに斎藤氏へのプレゼン資料としてnoteに掲載された資料には「SNS運用フェーズ」と題されたものがある。ここには10月1日から11月17日までを「種まき」「育成」「収穫」の3つのフェーズに分け、それぞれの「ターゲット」や「配信内容」を並べている。

「選挙期間は10月31日からですから10月1日からこの計画を実行していれば選挙の事前運動にあたる可能性があります。また、この資料を用いたプレゼンは10月1日より前に行われたとみるのが自然ですが、斎藤氏が県議会の不信任決議を受けて失職したのは9月30日午前0時。

斎藤氏はその数時間後の同日朝から駅前で立って挨拶をし『一人からのスタート』の宣伝を始めています。merchu社を訪れていたの時期がいつだったのか気になります」(県政界関係者)